第4話 大きな木
昔、大きな木があったとさ。
恋人たちが木の下で内緒のお話をするのだそうな。
やがて、恋人たちは結婚し、子供を連れて、木の下でお弁当を食べるんだそうな。
そうして、子供が大きくなると、やがて、その子たちだけでやって来て、内緒の話をするのだそうな。
その子たちも、やがて大きくなり、恋人同士になると、内緒の話をしに来るのだそうな。
大きな木は、その内緒の話しを聞くのが好きだった。
そして、どうしても、誰かに話したくなった。
でも、友達などいないから、仕方なく、誰も居ないと思って呟くように話したそうな。
それをモグラが聞いていたそうな。
モグラはミミズに、ミミズはカラスに、カラスはカエルに、カエルはハエに、ハエは生クズに、生クズは人間に、人間は大きな木に話したそうな。
いつの間にか、誰の内緒話かは知らないけども、いつの間にか、内緒でなくなっていたそうな。
そして、こうして一周するには、木にとっては短い時間でも、人間にとっては長かったので、誰も、そんな話を聞いても内緒話だとはわからなかったそうな。
こうして、この大きな木は、ストレスなく、内緒話を呟くそうな。
そうして、この大きな木の下は、マイナスイオンの出る癒しスポットとして、人間たちに人気となったんだそうな。
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