まれびとさんは異世界で生活することになりました。言い伝えの楽園だと思ったそこは精霊とか妖怪がひしめく世界!? THE MALTIVERSE ―JAMALAIME―

@UOOK

NETHODEM

 ここは生命が溢れる豊かなゴドバル

 

 そしてこの星の中には人類が築いた文明都市がいくつも存在している。大小様々な都市には数え切れないほどの人々が暮らし、独自の技術や信仰を持ちながら生きている。


 都市によって交わされる言葉や文化は大きく異なり、街の景観や性格も違う。全て周ろうとしたら途方もない時間が必要になる。


 ここまで人類が異なる社会を生きている光景を見ると壮大な歴史を感じさせる。だがここまで多様な文化が現れたのは実はそう昔のことではない。


 以前は一つの言語を話し、同じ概念を共有し、文明を築いてきた共通の祖先を持つ一つの民族だったのだ。ある力が、人類を分裂させたのだ。


 人々はこの、人類を分裂させた謎の力をNETHODEMネゾデンと呼び、自らの頭に深く残そうとした。


 ではこのNETHODEMネゾデンを発生させたのは一体何だったのか。それは宇宙から降り注いだ隕石だ。


 そう遠くない昔、この星に隕石が衝突し、かつて人類が築き上げた文明は見る見る内に破壊されていき、同時にほとんどの人類もその時死滅した。現在の文明にも通用する高度な文明だったがその科学力を前にしても隕石には叶わなかったのだ。そのため人類はここで絶滅したと思われた。


 しかし、人類のしぶとさとはこういう時に現れるものである。

 生きていたのだ。僅かながらに生き残っていたのだ。それは人類の内部に宿っていたJAMALAIMEヤマライメという力が彼らを守ったからだった。


 そしてこのJAMALAIMEヤマライメは創作神が人類に与えた力のことを指す。

 遥か昔、人類は創作神を超える想像力を誇り、あるがままの力を振るっていた。この力を恐れた創作神は隙をついて人類の力を奪い取り、自らの一部と交換した。この時人類に宿った力こそJAMALAIMEヤマライメの正体である。


 この力は人類の繁栄に大いに貢献し、元いた惑星を離れ、この惑星を開拓することにも役に立った。


 つまり、今生きている人類の祖先は異星人なのだ。やがて開拓経験者は絶滅し、生粋のゴドバル人が出来上がった。


 ゴドバル人は開拓経験者の知識や技術を受け継ぎ、高度な文明社会を維持し続けた。

 その後、隕石が衝突。文明は崩壊し、ネゾデンの力により人類はそれぞれの環境に適応し、再び文明を築き上げた。

 

 そして時が経ち、現在の多様な社会が存在するのだ。現在の文明は発展しては消滅しを繰り返してきた。災害や疫病が原因だ。ネゾデンは人類だけでなく惑星にも大きな変化をもたらした。気候や地殻は変動し、それに合わせて生物も適応を始め、衝突前とは全く違う生き物で溢れた。そしてネゾデンは人類の頭の中にも現れ、新しい知識や知恵が生まれたのだ。知恵は災害や疫病から人類を守り、人類を結束させる源となっている。

 

 ではもし、その知恵の中身を知ることが出来るとしたら、その世界は何が広がっているのだろう?

 数々の奇妙な現象を引き起こすネゾデンだが、これが一番大きい力だろう。

 その力とは、霊界の出現である。その出現隕石衝突直後まで遡る。人類や文明は隕石の衝撃波によって周辺の地殻もろとも吹き飛んだ。まさにその時、あちこちに無数のが現れ、人や構造物の中からその魂が歪みの中へ吸い込まれていったのだ。

 技術は人の知恵を形にしたものである。その知恵が魂となって歪みへ吸い込まれていった。その中の世界では、魂が人間や動物の姿となって暮らしているという伝説が数多くの文明で聞かれる。

 文化も信仰もそれぞれ異なるが、この霊界の概念は多くの文明が共通して持っていた。


 果たして、数多くの文明が持つこの霊界は本当に存在するのだろうか?単なる伝説の類なのだろうか?それは実際に文明を覗いてみないと分からない。


 見ているだけでは何も始まらないので文明の中に入ってみよう。

 広い広いゴドバルの大地に突如として都市が現れた。目的地はここで決まりだ。

 では早速、一つの都市に入り込もう。数え切れないほどの人々が暮らしている街だ。ここなら、人々が生み出した技術と知恵が詰まっている。霊界には知恵が人間の姿をして暮らしているというので、その世界が見られるかもしれない。




 後はここに暮らす人々に託そう。

 

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