第8話 Only to you(8)
はあああ・・
いっそがし・・
高宮は北都を待つ車の中で気を抜いてぐったりとしていた。
結婚式まであと1ヶ月を切った。
入籍は式のあと、落ち着いてからするつもりだった。
それでも仕事が相変わらず多忙で、たまの休みはもう1日中寝ているようになってしまい
夏希と一緒にどこかに行くとか、そんな雰囲気でもなく。
ぜんっぜん
新婚さんでもないなァ・・
式の後も休みがとれずに、旅行にも行けそうにもないし。
彼女に申し訳ないけれど、明るくしていてくれる夏希に少し感謝している。
北都が現れたので、慌てて車の外に出た。
後部座席のドアを開けようとしたとき、本当にスローモーションのように彼がよろめいた。
「・・社長?」
高宮は怪訝な顔で様子を伺うと、車にすがるように北都が崩れ落ちた。
「・・社長!!!」
もう
パニックだった。
「・・社長が!?」
志藤は驚いた。
「さっき高宮くんから電話がありました。 外出先で急に倒れたそうです。 救急車で病院に運び込んだらしいんですが・・」
真太郎も慌てて片付けながら言った。
「早く行ってください。 この後の会議はおれがフォローしますから、」
彼が手にしていたファイルを取り上げるようにして言った。
「すみません、」
「南は、」
「外出中です。 あとで連絡を取ってもらうように加瀬さんに頼んでおきました。」
そこに
「真太郎、」
真っ青になって真緒もやって来た。
「今、病院に行くから。 おまえも、」
「う・・うん、」
慌てて真太郎と真緒が病院に行くと、
「し、真太郎!」
母がもう来ていた。
「どうなってるの・・?」
母は青い顔でかなり取り乱していた。
そんな彼女に代わり、高宮が
「今から緊急手術に入るところです。」
重々しい口調でそう言った。
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