25:決意


『ともかく、二人で腹を割って話してみてはどうですか?それこそ一緒に飲みに行くとか』

『腹を割って、ですか!わかりました!そういうの場所の方が香椎花もきっと好きそうです!太宰府さん!ありがとうございます!』




そんな助言を太宰府から受けた春日は、月曜日、心の底から意気込んで会社へと向かった。

すると、いつもの如くワイワーイと元気に会社へやって来た香椎花。


いつも出社は春日よりも後だ。


「春日さーん!おっはようございますー!昨日どこ行ってたんですか!?」

「えっと、昨日は家に居たよ」

「えー!春日さん引きこもりっすねー!この休み誰とも会ってないんすか!」


ニコニコ笑って放たれる言葉は、やはりどこか無意識に鋭い槍のようだ。

春日は今日どこかのタイミングで飲みに誘うぞ!という意気込みを胸に拳を握りしめた。


「金曜日の夜は太宰府さと五郎丸君と飲んだよ」

「あー!前言ってたイケメンのリーマンさんっすねー!五郎丸君はデカイ剣道部―!」

「そうそう。はい、香椎花、そろそろ仕事するよ」

「はーい!あ、ちーなーみにー俺は昨日」

「香椎花、それは休憩の時に聞くから」

「彼女とラブホ行ってきましたー!」

「言わなくていいから!」

「あは!経理行ってきまーす!」


握りしめた拳は、早々にその力を失いかけようとした。

「(いや、諦めない。今度は太宰府さんに良い報告をするって決めたんだ!)」

春日はデスクの下でもう一度力強く拳を握り直すと「よしっ」と小さく呟いた。



      


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