137.二階層

【初めまして~クロウくんの相棒メティスで~すっ☆ 昨晩はいきなり声掛けてごめんなさい!】


 メティスの事をセレナお姉ちゃん達に紹介した。


 何故かメティスが謝っていた。


「あれ? これって『遠話』だよね? 私達はどういう方法で返したらいいのかしら?」


【皆に付いているソフィアの分体にそのまま話してくれれば私にも聞こえるよ~】


 どうやらメティスはソフィアと共存体になっているようだった。


 ソフィアも皆と意思疎通が取れないから助かってるのかも知れないね。


 ソフィアはモンスターなので、会話も遠話も使えないから。


 僕の『神獣の加護』を皆に渡せられれば、話せるかも知れないんだけどね。



「そうなの――分かったわ、これから宜しくお願いするね」


 ディアナとリサも大きく頷いた。


【それはそうと、昨晩はとても面白――】


「メティスちゃん!! それは言わないでよね!?」


 ん? 昨晩って……何かあったのか?


 ちょっと顔を赤くした三人が慌てていた。




 紹介も終わり、僕達は再度ウリエルのダンジョンに戻った。


「それではクロウ様、最後はボスモンスターをお願いします」


 ディアナに言われ、僕はウリエルのダンジョン一階のボスモンスターを倒した。


 僕の体が小さく光った。


 これで二階へ行けるのだろう。



 そして二階にやってきた。


 一階の高原とは違い、二階は大きな川が真ん中に流れている平原だった。


 大きな川は簡単には渡れそうになかった。


 そして、もう一つの特徴は、モンスターだった。


 一階の殆ど動かない土ゴーレムと違い、二階は少しスリムになり、人間に近い形の土ゴーレムだった。


 それとちゃんと動いていた。


 動いてる速度は人が普通に歩くくらいの速度だった。



「やっと普通に動いているわね」


「うん、ここからは油断せずに行こう」


「うん!」「はい!」


 そして僕達は新しいゴーレムと戦う事にした。



 まず先にリサが、前回同様に火属性魔法を放った。


「火の神よ! 貴方の力を我に貸し与えたえ! ファイアランス!」


 ドバ――――ン


 ……


 …………


 ゴーレムが消し炭になっていた。


「あ、魔力上がりすぎて強くなってのかも」


 そうだった……リサは神々の楽園アヴァロンが最大値掛かっていたね。


「でも、今回はちゃんと爆風で消し炭になっていたから、上とは違ってちゃんと強いかも」


 またセレナお姉ちゃんには見えていたみたいだ。


 僕全然見えなかったんだけど……。



 次はディアナが戦った。


 素早く接近したディアナにゴーレムが反応した。


 動きも普通の大人くらいの反応速度だった。


 シュッ


 ディアナの剣がゴーレムを横切った。


 そのままゴーレムの胴体が真っ二つになって消えた。


「はい、ちゃんとゴーレムらしく動いてます」


 う~ん、ゴーレムって実は弱いのかな?


 そんな事を思いながら先を進んでみるも、これと言って大きな罠はなかった。



 しかし、問題が起きた。


 次の階への入り口が川の向こうにある。


「他のダンジョンだと、水の中も歩けるらしいからこの川も歩けるか試そう」


 リサがそう話し、川に足を付いた。


 その瞬間、


 パリ――ン


 リサの足が跳ね返された。


「え? 川に入れないね」


 それからセレナお姉ちゃんとディアナと試してみるも川から跳ね返された。


 魔法や石を投げて見たけど、魔法や石はそのまま川に入った。


 どうやら人だけ弾く仕様のようだ。


 僕も試してみたけど、同様に跳ね返された。


「クロウ! 橋作って!」


 セレナお姉ちゃんが簡単そうに言った。


 確かにその方が早そうだ。


「土属性魔法!」


 僕の魔法で川に橋が架かった。


 架かったその橋を渡った。


 川は思っていた以上に広くて、橋は全長百m程にもなった。


 橋の真ん中ら辺に着くと、セレナお姉ちゃんは「見て! 真下に川が見えるよ!」と橋から川を眺めていた。


「凄い! 魚もいる!」


 えっ? 本当に?


 下を覗いて見ると、確かに魚が泳いでいた。




 そんな矢先、セレナお姉ちゃんが思いもよらぬ事をした。


 川に飛び込んだ。


「お姉ちゃん!?」


 驚いた僕はお姉ちゃんが立っていた場所に急行し飛び降りた。


 でも川に跳ね返されたのか、お姉ちゃんが上に飛んで帰ってきた。


 僕は急いで飛行魔法を使い、お姉ちゃんを抱えた。


「凄い! 真下に飛び降りると真上に返されて楽しいわ!」


「お姉ちゃん! 危ないでしょう!」


「え~、だって話しても、させてくれなかったでしょう?」


「それはそうだけど……」


 お姫様抱っこをしたお姉ちゃんをゆっくり橋の上に戻した。


 お姉ちゃんの甘い香りがまだ腕の中に残ってる気がする。


「でも凄く楽しかったよ! ディアナちゃんとアリサちゃんもやってみて!」


 えっ、ちょっと!?


 あれ? 二人とも飛ぶ気満々じゃん!


 先にディアナが飛んだ。


 僕は慌てて上がって来たディアナをお姉ちゃん同様に抱えて下ろした。


 その瞬間、リサも飛んだ。


 ちょっと!!


 上がって来たリサも抱えて下ろす。


「うん! これすっごく楽しいかも!」


「うん! 私も大好き!」


「でしょう! 今度また飛びに来よう!」


 あ――僕だけ気が気でなかったみたい。


 まあ、でもお姉ちゃん達の楽しそうな笑顔が見れたから良いか。



 そして僕達はボスモンスターの所に向った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る