第27話 アメリア攻略法

「アメリアの攻略方法? そりゃまた難題だな」


「俺達、俺とアレクシスはアメリアに求婚しにきてるはずなんですが、どうも上手くいかなくて」


 イライジャは、チェスをしながらヘンリーに愚痴を言っていた。



「隙がないって言うか。パーティーにエスコートしても、いつの間にか別の女性達の元に俺達がエスコートされてる感じで。

気がつくと周りに要塞ができてる。


女性相手は自信があったんだけどなあ」



「エスコートしてきたパートナーと言うより、シャペロンみたいな態度だよな」


「家庭教師」


「「そう、正にそれ!」」



 ヘンリーが苦笑いを浮かべ、

「想像がつくな」


「「どうしたらいいんでしょうか?」」


「・・アメリアは突発事項に弱い」


「「?」」


「レースは図案を考えて、それに忠実に正確に作っていく。アメリアはその方が自分の性格には合っていると思ってる。

だから用心して安全な場所から出てこないんだ」


「突拍子もない状況でも動揺してなかったよな?」

「うん」



 イライジャとアレクシスは、初めて領主館でアメリアと会った日の事を思い出していた。



「アメリアは表情を作るのが上手い、優秀な家庭教師だからね。

見慣れて来ると、結構簡単に動揺するのが分かるようになるよ」



「ロージー」


「そうだな。確かにロージーが一番アメリアの弱点? 攻略法をよくわかってるだろう」



「続きはジョシュアがやってくれるか? 俺達はロージーを探しに行って来る」





「んで、ここに来られたですか?」


「そうなんだ、何かいい知恵を貸してほしい」


「お嬢様の攻略法ねえ、なんでそれを私が教えにゃならんですか?

ソフィー様がお二人をポンコツ言われるはずです」


「「・・」」


「お二人とも観察力が足りねえす。よおく見て、話して。

特にアレクシス様はなっちゃおらんです」


「俺? だって俺は・・」


「アレクシス様が今まで付きおうてこられたんは、向こうから寄って来るような娘ばかりじゃったと違いますか?」


「うーん、確かに」


「お家柄やら見た目やらで勝手に寄って来るのと一緒くたに考えとったら一生かかっても無理です」


「はい!」



「その点ではまだ、イライジャ様の方がちびっとだけましですわ。

お嬢様はずうっと、ご両親含めてみんなをお守りするのに必死でおられましたんで、守られる側になった事はない方ですで」


 ロージーは二人をじろっと睨み、


「だいたい、お二方がなんでお嬢様と結婚しようと思っとられるのかさえ、理解できとりません。

お嬢様だって同じ様に考えとられるんでないですかね。


スタートラインにも立っとらんのに話にならんです」



 ロージー、爽やかに? 一刀両断。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る