第2章 通り魔①
スーパーから自宅までは徒歩で約30分の距離、日頃は寄り道などをして帰るために小一時間ぐらい掛かっていて姉に夜遊びを注意されている。しかし今夜は少しで早く帰宅する必要が出てきたため、奈津子は最短(約15分)で帰れる遊歩道を突っ切るルートを選択することにした。遊歩道は周囲を雑木林に囲まれているために日中でも薄暗く、地元民でも薄気味悪がって余り通らない。ましてや夜ともなると街灯がポツポツ程度にしか配置いないこの道を通るのは怖いもの好きな変わり者ぐらい、奈津子自身もめったに通らないこの道に不安を覚えるのであった。友人の絵璃華から聞いた話によると深夜に歩いていると後方から赤ちゃんの鳴き声が聞こえてきて突然足を掴まれるとか,目の前に全身真っ赤な女が現れて切りつけられるとか,横道に逸れて雑木林へと入って行くと道に迷い二度と出られなくなるとか,心霊現象や都市伝説に事欠かないスポットとして地元では有名な場所であった。
「こんな時間にここを通る物好きはそうはいないだろうから逆に安心と言えるかもしれない・・・あっ!ここに1人変わり者が居たわねw」
などと独り言で不安を振り払いつつ進んでいると前方にこの遊歩道でもっとも有名な心霊スポットが見えてきた。樹齢200年以上にもなる大きな松の木、地元民が避ける最大の要因がこの大木にあって、3年前に拡張工事が持ち上がった時に計画では雑木林の一部とこの松の木の伐採がなされることになっていた。不可解なでき事が起こり始めたのはその頃からで工事の関係者が不慮の事故や事件に遭いだしついには惨殺される者まで、街ではそのことを木の祟りだと噂する者が現れ、祟りを恐れた関係者は計画から次々と離れだし現在では工事計画そのものまで頓挫してしまった。そのことを思い出した奈津子は大木の前を早く通り過ぎたい気持ちになって急ぎ足で歩を進めた。大木との距離が縮まり葉の一枚一枚が見える所まで近づいたその時、大木の後ろから人影のようなモノが飛び出し、奈津子の前で両腕を広げて行く手を遮ってしまった。よく見るとそれは大人の女性のように見受けられ、身体的には髪が長く,顔には眉がなく,目は鋭利な眼差しで自分の方を睨みつける恐ろしい瞳,口元を白いマスクで覆い素顔を隠していた。また服飾的には赤いワンピースの上に赤のトレンチコートを身につけ,手に赤い手袋を嵌め,足には赤いハイヒールを履き,全身を真っ赤で覆い異様な雰囲気を醸し出していた。
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