2話 教育
ルビアの護衛を始めて早2ヶ月が経った。
(暇だ)
そう。やることがない。この2か月間、ルビアが危険な目にあうことがなかった。まあ当然だ。王宮には騎士や魔法使いがいる。そうそうルビアが危険な目に合うことはない。だから昼間はルビアの近くに立っているだけ。夜はルビアの部屋を監視する。そんな日常が続いていた。
勇者パーティの時は毎日クエストを受けて大変だったけど、今思えば順風満帆だった。それでも勇者パーティにいた時は精神的に辛かったからまだルビアの護衛をしている方が楽しかった。
「ノア! 来月お出かけするから予定空けておいてね」
「ん? どこに行くんだ?」
「エーディリ王国で貴族のお茶会があるの。私も隣国の王女としていかなくちゃいけなくて」
「わかった。でもそう言うのって第一王女---マヤ様が行くんじゃないのか?」
マヤ様とはあまり面識がない。だから幼馴染ってわけでもない。ましてやルビアと話すようにため口を使うことなんてもってのほかだ。
「マヤ姉は再来月まで魔術都市スクリーティアに行ってるから無理よ」
「そうなんだ...」
だから見かけなかったのか...。
ルビアとマヤ姉さんで4つ離れている。だから俺とルビアは15歳、マヤ姉さんは19歳ってことだ。だとしたら...。
「ルビアってもしかして半年後からスクリーティアに行くの?」
「うん。ローリライ家は代々16歳からスクリーティアに行って社会勉強することになってるの」
「あ、そうなんだ」
「うん! だからノアも私の護衛としてスクリーティアに行くんだよ?」
「わかった」
まあそうだよな...。別にこの国にとどまりたいわけじゃないけどスクリーティアに行ったらより一層、ルビアが危険になる。
「護衛は俺だけ?」
「違うよ。護衛役1人、執事役1人の計2人連れていくことができるの。それに加えて騎士とかも何人もついてきてくれるよ」
専属で2人ってことか...。護衛役は俺だとして執事役は誰になるんだ?
「じゃあ執事役をどうするかってことだよな」
「そうね。まあそれには考えがあるわ。楽しみにしててね」
「わかった」
楽しみにしててね...。何を楽しみにするんだか...。
ルビアの護衛時間も終わり、王宮内でスクリーティアのことを調べ始める。世界最大級の魔法都市であり、魔術に関しては世界一。魔法都市と言われているが、貴族科、執事科など魔法以外にも力を入れている。そのため他国からの王族、貴族も多数在籍している。貴族科、執事科などと魔法科は棟が違うため、場所が違うらしい。
(多分ルビアは貴族科だろうな)
でも護衛の人はどこの科に入るんだ? まあ行ってみればわかるか...。
少し調べ物をしていたらすっかり外が真っ暗になって来ていた。
(後数時間後には護衛時間が始まるし早く家に帰って寝よ)
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次の日。どういうわけか来月のお茶会は俺が執事役として参加することになっていた。だから今日から教育をさせられる羽目になった。
なんで...。ここには執事なんてわんさかいるのに...。俺に執事なんて無理だよ。そう思いながら教育が始まった。
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