駆け足のルマンブルー(フェアレディZと君のこと)

詩川貴彦

プロローグ

プロローグ


金曜の深夜。

一人で音楽を聴いている。

緩やかな時間だ。何日かぶりのこんな時間だ。

僕は一人ぼっち。

君はもういない。

君のことを忘れてしまいそうだ。忘れようとしているんだ。

でも忘れられなくて時々思い出している。

僕にとっての宝石のような思い出。

君とのことを忘れないように。

輝きを失ってしまわないうちに。

君との思い出を綴っておこうと思っている。



確か3年前の早春のことだった。

僕はずいぶん無理をして青いフェアレディZを買った。

プレミアムルマンブルーのZがどうしても欲しかった。

心に中にはとっくに君がいて

君のクルマの色に合わせてみたいと思っていたからだ。

それから君を

ルマンブルーのZに乗せて

青い海峡に連れて行きたかったんだ。

ただそれだけのことだった。


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