第5話 旅立ちの日
—1—
騙し合いを続けて約2年。
とうとう郡山先輩の旅立ちの日がやってきた。
卒業式には在校生代表として私たち2年生が参加した。
『卒業証書授与』
郡山先輩が担任の先生に名前を呼ばれてステージに上がる。
私はその姿を見てこれまで先輩と過ごした時間を1つずつ辿るように思い出していた。
入部初日から騙されて、そこから騙し、騙される毎日。
誕生日のサプライズは今でも忘れない。
先輩と過ごした時間が私の高校生活に色を付けてくれた。
卒業か。流れ出る涙をハンカチで拭う。
顔を上げると、ステージから降壇する先輩と目が合った。ヤバっ、泣いてる顔、見られちゃったかな。
卒業式はつつがなく進行し、在校生が花のアーチを作って先輩たちを見送る。
郡山先輩も少しして私と
言葉は交わさなかった。いや、交わせなかった。
これで最後だと思うと言葉が喉に引っかかって出てこなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます