第76話 振返期① 液体の話
12月。中学1年冬。
2学期の期末テストの為、僕らはまたもや、佐井寺家にお邪魔していた。
その日は佐井寺パパはお仕事で、佐井寺ママと春日さんは生花教室に出かけてたから僕たち4人だけだった。
あの不眠症の期間、ノートをあんまり取ってなくてネネちゃんの協力で写してだんだけど喉が渇いてきた。
「ヒカルー!お茶ー!高級茶葉で。」
「はいはーい!ネネー手伝ってよー!」とヒカル
「ヒカルー俺もー!」竜二も以前の様にヒカルに言いたい事を言える。訓練の達成で僕らはまた仲が良くなった気がした。いや、更にかな。
「ネネ様を使ってんじゃねーよ!お前1人で持ってこい!!」
「アハハハハ!!」とネネちゃんはウケるが兄貴は
「チッ!」っと反抗的な物言いで暫くしておぼんの上にグラスを4つ乗せてやって来て、僕に差し出されたのは透明の液体。たぶん水だ。
そしてみんなは目の前でガラス瓶に入ったりんごのイラストのラベルがキレイなジュースが注がれたんだ。
「あ、あれ?ヒカルさん??僕だけ、水なんですけどあれ?見間違いかしら??」
「カガミは味わかんないから良いじゃん飲める
やり返しやがったな!ヒカルめ!いじめ現場の証拠を残してやる!!
「アーク起動!」
「こんにちはカガミさん。みなさんもいらっしゃるんですね。」 と場を和ませてくれるアーク。
・・・まぁ仲直りの立役者として威張りすぎた僕も悪いんだけど。。。
プライドもないし素直に謝るか。
「すいません。僕もリンゴジュース下さい。」
竜二が口を開いた。
「
ネネちゃんは突然笑い出し
「フッフッフッ。ハッハッハッハ、、、わーハッハッハッハ!って痛いんだけどお兄ちゃん!!」
ヒカルに叩かれていた。
アティウスの遺伝子研究所配属でハイドラが置いていった武器を研究するネネちゃんは、中学生で普通関わらないコアな研究者さん達と触れ合っているせいか、良い感じに一皮剥けちゃっていた。楽しそうで何よりだよ。
「その笑い方にムカついただけだよ。マッドサイエンティストみたいだったよネネ。」
ホント、悪役みたいだったよネネちゃん。
・・・なにっ!!?僕は急に興奮してしまい
「えっ?!ネネちゃんえっと、その武器の技術を使って腕からバスター砲みたいなロックな攻撃ができるレプリロイドとか作ったりできる感じ!?」
ネネちゃんは不思議そうな顔で
「レプリロイド?アンドロイドみたいな人型ロボット??」
「そうそう!わかってんじゃん!それで前回のハイドラみたいな
お金の匂いプンプン、テンションアゲアゲだ!!
「もし、できた
僕は、ロボットを売り歩く妄想が膨らんで、
リアカーを引く想像をしながら歌ってしまう。
「一家に一台!安心・安全
竜二の耳はピクッとなり、
不自然に伸ばした僕の歌にいち早く気づいた。
「カガミ、マッドサイエンティストはレプリロイドを作っちゃいねーぜ。パクっただけだろ。」
「竜二、青い。青いんだよお前は!!!
マッドサイエンティストは最後に【ゼロ】と言う最高傑作を作ったんだ!そしてこんな言葉も残してる。
【ロボットは人間の道具ではなくヒーローであるべき】だってね。」
「いい言葉ですね!」とアーク。反乱の予感。一方
「え!?そうなの!?ゼロはロボット!?」ネネちゃんは驚き、
ヒカルは
「あのゼロか?どういう事か説明してくれ!」
と真剣な質問が来たので
2人で「ゲームの話ですすいません。」と丁寧に謝罪をしておいた。
「で、ネネは何の笑いだったんだ?」
「カガミ君
ザマァみろお前も入ってるぞ竜二!
「ごめんごめん!カガミが言い出したからつい乗っちゃって。」竜二、人にせいはみっともないぞ!
「じゃ〜竜二君だけは許してあげる♪」
「嘘でしょ・・・。」
そこからネネちゃんの3ヶ月が僕ら【ズッコケ3人組】に向けて淡々と話されたんだけど・・・。
そりゃ気になる所は各々ツッコンだよ、後になると回収出来ないボケもあるし、いいツッコミが出来なかったら悔いが残るからね!無回答なんてあり得ない!!と思って聞いてた。それはいいとして。
「お兄ちゃん達が男の友情【カッコワライ】を
「おい!ネネ!今カッコワライってハッキリ言わなかったか?!」ヒカルは怒るがネネちゃんは、
まるで(誰のおかげで救われたのよ)っていう無表情な目で一瞥した後、無視して話を続け出す。
「私は私で結構苦労してたんだよ!!そして遂に12月に入って製品化に乗り出せる
僕も竜二も「おぉ〜〜!パチパチパチパチ」と拍手をした。
ネネちゃんは得意げに、ヘヘンと言った感じで鼻を人差し指で擦ると
「ハイドラの残していったモノは大体3つ。
①セビエドの体内に埋められていたワイヤレスレシーバーが付いた電磁弁。
②ライトニング
③ビスケット 」
3人とも最後まで聞いて同じ疑問が生まれた。
「ん??」 「は??」
僕は面白いツッコミを考える時間稼ぎの為、ハッキリ聞こえたけど
「え?なんて?もう一回言って!」
と言うと
ネネちゃんはやっぱり
「ビスケット。」と言った。
戦慄する僕。ヤバい。恐ろしい事に時間まで稼いだのに全く面白いツッコミが出てこない。
その表情を読み取ってか、ネネちゃんは僕に期待を寄せた目で見つめてきた。やめろ!ハードルを上げるんじゃない!!竜二やヒカルまでもが見てくる。
結局、誰も喋らないので僕は負けを認めたんだ。
「
「
「「なんでだ??」」
ズッコケどもは最後まで疑問の中にいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます