第9話…エピソード1…シベリア開拓

アドリアンシリーズ第8話…シベリア開拓…エピソードⅩ


1370年6月上旬の日曜日…チンギチュラ


しばらくの間は毛皮商人手代のアドルフ12歳が中心となる。


アドルフはリトアニア人の男の子で5歳から手代見習いを


していたが、親方から虐待されて逃げてきた。仲間が2人いる。


1人はノヴゴロドの毛皮商人の手代エドムント13歳である。


最後の1人はロシアの蝋組合の手代イザーク13歳である。


アドリアンは3人の技術力を認め、年俸を金のインゴット2枚固定給で支給した。


利益のうち1%をインセンティブとして渡す契約を締結した。


当座の運用資金として塩引手形で金塊100kg分ずつ渡した。


アドルフはチンギチュラの総督をしているアネックのところに陳情に出向いた。


アドルフ…この辺りでは毛皮の仕入れ値が高く、絶対量も不足しています。


オビ川を下り、ヤマル半島に毛皮交易の拠点を築いてもらいたいのです。


北ドヴィナ川の河口にあるアルハンゲリスクで西欧人に毛皮を売りたいのです。


アネック…1ヶ月位掛かるぞ。ああ、ダーニャ28歳がトナカイの毛皮製品一式を


大人1人、子供2人分購入してきてくれと云っている。頼まれてくれ。


アドルフ…了解しました。帰りに寄ります。


アドルフはチンギチュラで食料と蜜蝋を大量に買い込んだ。


ここに来る前にコークスを買えるだけ買い込み馬車に積み込んでおいた。


現地では物々交換をする。アドルフたちは川船で工兵隊と一緒にオビ川を下った。


1370年6月中旬の日曜日…オビ湾


丸一日馬車に乗り、トナカイ猟をしているネネツ人を探した。


何とかカイエクさん…男32歳と話をすることが出来た。


「食料、蜜蝋、コークスを毛皮と物々交換したい。」


と伝えると、ユルタに3人を招いてくれた。1週間泊めてくれた。


その間に一族全員を呼んでくれて上手く物々交換が出来た。


コークス1トンと大量の毛皮が交換され、お互いに満足できた。


ここらではコークスが一番需要が高いようだ。


もちろん食料や蜜蝋も十分利益になった。


ネネツ族も族外婚を固く守っていて若い3人はモテモテだった。


アドルフはカイエクさんのユルタに1週間寝泊まりしたがカイエクさんは


自分の気に入った若い妻のところに行って一度も寝泊まりしなかった。


奥さんのエルダ26歳と親密になり、アドルフたちは暇さえあれば2人で抱き合った。


エルダのおかげで童貞だったアドルフも一人前になることが出来た。


お礼に食料と蜜蝋を沢山置いていった。


1370年6月下旬の日曜日…エルダさんのユルタ


名残惜しいがアドルフたちは別の猟師を探しに出かけた。


エルダさんがタズ川のほとりを探せば良いと教えてくれた。


コークスがあると聞きつけた10数氏族の人たちが待っていた。


馬車から3トンのコークスを下して貴重な毛皮と交換した。


十二分に毛皮が集まったので大きな船で北ドヴィナ川河口の


アルハンゲリスクまで出掛けた。


1370年7月上旬の日曜日…アルハンゲリスク


毛皮とコークス5トンを西欧人に売却して金塊1.2トン分の塩引手形を得た。


早馬でジョチ・ウルスに報告した。直ぐに連絡があった。


0.2トンだけ国庫に納入せよ。あとの資金はお前に与える。


お前をジョチ・ウルスの毛皮商人として正式に認める。


以後は交易税を売上の3%納めるだけでよい。


アドルフは一人前になり、他の2人とここで別れた。


★マンガゼヤ(Мангазея, Mangazeya)はシベリア北西部に存在した街。


北極海のオビ湾に注ぐタズ湾・タズ川のほとりにあり、


近くにオビ湾西岸のヤマル半島がある。オビ川やエニセイ川流域とつながっている。


白海沿岸のアルハンゲリスクなどの町との間で交易が行われ栄えている。


12世紀に白海沿岸に入植したロシア人(ポモール)は西のスカンジナビア半島


への海上交易路を開拓してノルウェー人、イングランド人、オランダ人と盛ん


に交易(ポモール貿易)していた。同時に東のシベリア沿岸の航路も開拓しており、


オビ湾のマンガゼヤに入植地を築いていた。マンガゼヤの入植地は、


ポモール商人がシベリアの毛皮やセイウチの牙を集めるための拠点として使われ、


北極海の氷が解ける短い夏の間に集めた商品をアルハンゲリスク


へ向けて出荷し、アルハンゲリスクで西欧人らに売っていた。


★アネックとムジョルがアドリアンの子を生んだ。


順にアダム男0歳、イメルダ女0歳である。


★アドルフ12歳、女たちの出産予定


エルダ…1371年5月

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