第11話 不機嫌な気持ちから笑顔になる言葉を
「あの、先生。話って……テストのことですか?」
職員室に着いてすぐ、机で作業をしていたニーナを見つけるなり恐る恐る話しかけたツムギ。その心配そうな声が、後ろから聞こえてきて、少し驚いた顔をしてニーナが振り向いた
「テストは大丈夫よ。あなた達グループは合格範囲内だから」
ツムギの不安にニーナがクスッと笑って答えると、安心してホッと胸を撫で下ろすツムギに対し、今度はニーナが少し困った顔でツムギの方を向いて話しかけた
「それより、レアスさんのことだけど……」
ニーナの言葉に、隠れていたルトとララが現れツムギの肩に乗り、険しい顔をしてニーナを見ている
「何か知らない?最近変わったこととか……」
「いえ、レアスとは、同じグループになるまで、あまり話した事もなかったですし、ナオとカホもあまり知らないって言ってました」
「そう、困ったわね……。どうしましょう……」
ため息混じりに言ったニーナの言葉に、ララがニーナの側に飛んでいくと、怒った顔で机の上をバンバンと足を机に叩きだした
「あら、ゴメンね。あなたはレアスの使い魔だものね。悪口じゃないのよ」
机に置いていた資料を、ララにあちらこちらに飛ばされて、慌てて抱きしめたニーナ。つかまれたのが嫌なララが思いっきりジタバタと手足を動かしニーナから離れようと抵抗している
「あの……。ララは、私とずっと一緒にいて大丈夫なんですか?ララにだって、魔力がいるだろうし」
ジタバタと動くララに、心配そうにニーナに問いかけるツムギ。その言葉を聞いて、ララをジーっと見つめだしたニーナと、目を合わせないようプイッと顔を背けるララ。すると、体を調べるために、あちらこちらと体を見られたり触られたりされて、嫌がるララが、またジタバタとニーナの手の中で動きだした
「ご飯も食べるみたいだし、こんなに元気なら、まだ大丈夫そうだけど、早く見つからないと、この子の為にも良くないわね」
ララの体を見終えてツムギに渡しながら、そう言ったニーナの言葉を聞いて、ララを受け取りぎゅっと強く抱きしめた
「それじゃあ、話ありがとう。もう帰って良いわよ」
「……はい」
少しテンションが低いまま、帰ろうとニーナに背を向けるが、ふと何かを思い出して、くるりとニーナの方に振り向いた
「そうだ。ニーナ先生、あの……」
ツムギの提案に、不機嫌だったララの表情が笑顔になっていく。ツムギの話を聞いたニーナは、少し悩んだ後、納得した様子でふぅ。とため息つきながらツムギの提案に答えた
「ええ、良いわよ。報告もお願いね」
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