第7話 明日のために、みんな一緒に
「何、ボーッとしているの?」
「ツムギらしくないね。何かあったの?」
「ううん。何も……」
学園に戻って来るとすぐ、ナオとカホに誘われて一緒に、寮にある食堂でご飯を食べていた。食が進まず、どこか上の空なツムギに話しかけると苦笑いで返事をすると、ガチャンと食器の音が鳴り、音のする方に振り向くと、ルトとララがツムギのデザートを勝手に取りあっていた
「レアスの子、連れてきていいの?」
「うん、預かるように言われて……」
「そうなんだ。ルトとも仲良さそうだし、預かっても大丈夫そうだね」
「うーん、仲は良いけど……」
ナオとカホに返事をしながら、ルトが食べようとしていたツムギのデザートを取り返して、ため息混じりにデザートを食べはじめたツムギ。その様子を見たカホとナオが困ったように顔を見合わせた
「まあ、あまり考えすぎないの。それに明日テストなんだから、早く部屋に戻って休みな」
「……テスト?」
ナオの言葉を聞いて、デザートを食べていた手を止め首をかしげた
「そうだよ。今日はテスト前の練習だったでしょ。もう忘れたの?」
「忘れてた……。ララ、どうしよう」
「先生に預かるように言われたんでしょ?テストの時に連れていっても大丈夫じゃない?」
「でも、勝手に連れてっても……」
困ったようにナオにそう返事をすると、ルトと一緒にデザートを食べているララを見た
「今、悩んでも仕方ないよ。それより、早く休んで明日のテスト頑張ろ」
「……うん」
ナオに返事をして、またはぁ。とため息ついてデザートを頬張るツムギ。そんなツムギに話を変えようと、ナオの隣にルトよりも少し大きな犬のようなものが現れ、カホの隣には、小さな鳥のようなのが現れルトの側に駆け寄っていった
「そうそう、聞いて。ナツメがね……」
「ナツメ?」
ナオの言葉を聞いて、ララを不思議そうに見ている犬のようなものに目を向けた
「うん。この前、ココとね……」
ツムギにそう話しかけながら、鳥のようなものを見て、クスッと笑ったカホ。三人が話をしている側で、ルト達がデザートの取り合いをしてドタバタと騒ぎはじめだした
「じゃあね、ツムギ。また明日ね」
「うん。明日ね……」
会話も終わり、先に部屋に戻っていくナオとカホ。ナツメとココも、ツムギ達に手を振り帰っていった。二人の姿が見えなくなると、ふぅ。とため息をついくと、ご飯もデザートをたくさん食べてお腹一杯で眠そうなルトとララを見てクスッと笑った
「二人とも、お腹一杯になった?」
ツムギの声を聞いたルトが少し目が覚めて、ツムギの右肩に乗った。その様子を少し寝ぼけながら見たララも、ツムギの左肩に乗ると、重くなった肩に少し戸惑いつつも、ゆっくりと椅子から立ち上がると、ルトとララの分の食器を片付け食堂を出ると、うーんと大きく背伸びをした
「お部屋、戻ろうか。流石にちょっと疲れたし、明日テストだから、ちゃんと休もう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます