第17話 ポッケナイナイの術

「ポッケナイナイ」は昔よく聞いた言葉だ。


小さな子供がポッケにしまって「ほらもうないよ」という業である。


私はこれを多用する。


いつかピアス開けようと作ったり買った百以上のピアスは、しまって見えないからナイナイ。


何キロかわからない天然石を持っているが見えないからナイナイ。


ダンボール二箱の毛糸も見えないからナイナイ。



そしてツケ払いがきた。


引っ越しだよ。引っ越し!


溜まりに溜まったピアスを見て、クリニックに穴を空けに行った。


妹が非難の目で見た。

「同僚の耳が豚耳みたいに裂けてたわよ」


母が心配した。

「耳たぶが大きくなってる!!」

重いピアスをつけると耳たぶが延びるのだ。

慌てて軽いものに変えた。


弟が最後に驚愕した。

「お前、耳に穴が空いてるぞ!!」

……大きなお世話だ。


今は一つ一つ使って作った人の技量やセンスを褒め、スワロフスキーやチェコビーズを楽しんで使用済み箱に移している。



溜まりに溜まった天然石は庭に撒き、機会がある時には人にプレゼントし……それでもやはり減らない。


その話はまた別の機会に。



何年か前のFacebookの今日は何をしてたの投稿を見てふと思い出した。


編みかけのセーターあったわ(汗)


思い出したらポッケナイナイの術は解けてしまうのである。


そして現在セーターに四苦八苦しつつ

「これアンゴラ入ったモヘアだったわ」と再発見した。


完成するのを母が楽しみにしている。


ポッケナイナイもう使えないじゃん!!

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