第57話 手作り

現状の説明をしておこう。


現在俺は吉野家。正確にはじいちゃんばあちゃんの家になるのか。

その家のリビングというか。居間?だな。そこに通されて……1人待機中。


久しぶりに畳の上に座っている。うん。畳ってやっぱり良いな。とかも思っていた。


そして机が目の前にはあるのだが。そこには飲み物。お茶だけが先ほどやって来た。


現在吉野は……多分調理中。

少し前までは。


「ちょっと準備しますからここから出ないでください」


とか言いながら俺をこの部屋まで押してきた。


うん。監禁されたのかな?俺、まあ……食事にありつけるのは大変うれしいが。吉野は急に何故そんな提案を……というのがあったが。


もしかして……毒でも……とか一瞬思ったが。まあそれはないだろう。

ちょっと少し前の吉野の態度が気になってはいたが。まあ今のところ……いつも通りになった気がするので変に触れないようにとしているのだが――。


ってか。かれこれ40分ほど待機中である。地味に長い。

まあ吉野も風呂に入っていたみたいだから何も準備してない状態からの料理だと思うのでそんなすぐには出てくるとは思ってなかったのだが……。


ちょっとくらい手伝った方がいいのでは……とか思っていたら。


「入ります」


と、吉野の声が聞こえてきた。


そしてお盆を持った吉野登場。


「大したものはありませんが……」


と、言いながら。ご飯と漬物が出てきて……野菜スープ?的なのが出てきた。


「パパっと作ったので……味は微妙かもですが」

「いや、これ何だっけ?」

「ポトフですけど?」

「そうそう。そんなん前だったな」

「野菜切って煮込むだけなので。漬物はおばあちゃんが作ったのがあったので」


そう言いながら俺の前に料理を置いた吉野は正面へと座った。


「えっと……いただきます?」

「どうぞ」


ということで2人でいただきます。


「……美味い」

「そうですか?」

「ああ。ってかなんか悪いな。急に来てご飯までもらって」

「……いえ。さっき……ひどい事言ったので――」

「うん?」

「何でもないです」


とまあ夕食の時間は美味しくあっという間に終わり……。

食べ終えたころ。


「で」

「うん?なんだ吉野?」

「……古市さんとは……楽しかったですか?」

「はい?」

「……デレデレして」


あれ?今のごはん中のなんかいい雰囲気はどこ行った?


「いやいや、何だよいきなり」

「……」

「無言をやめい」

「先輩と古市さん……いい感じですもん」

「うん?何言ってるんだ」

「……どうせ……もう付き合ったとか。になってますよね?」

「……何故そんなことになったんだ?ってか何もないぞ?普通に送って行っただけだし」

「……本当に?」

「ってか。古市が急に帰っていった吉野に連絡するとか言っていたが。連絡きたか?」

「えっ……何も――」


と、言いながら吉野は立ち上がり――こちらにスマホを持ってきた。


そして――。


「—―うわっ……めっちゃ電話かかって来てる……」


と、自分のスマホを見つつつぶやいていた。


「……無視してたのか」

「マナーモードのままだったから気が付かなかった」

「とりあえず、急に吉野が帰るとか言ったから。古市も気にしてたぞ?」

「……それは……濡れてましたし。って先輩と古市さん……見てると……」

「うん?」

「何でもないです。って電話……かけなおした方がいいかな?」

「どうだろう?」

「……掛けてみます」


と、吉野はスマホを耳に。


「……」

「……」

「……」

「……あれ?出ませんよ」

「うーん。古市も風呂じゃないか?」

「……先輩最低」

「何が?」

「嫌らしい想像してる」

「してないし。普通に風呂だろ?って言っただけだし」

「……」

「……変なやつだな」

「変なのは先輩です」

「どこが」

「一緒に川に落ちたと思ったら……すぐに古市さんの方に……」

「うん?あのさ。吉野はなんで不機嫌?」

「—―不機嫌じゃないです!」


めっちゃ不機嫌だろこれ……なんなんだよ。ホント。


「……」

「……でももう少し私の方にも……」

「うん?」

「……何でもないです。変態先輩」

「なんか俺の評価がダダ下がり……?」

「変態ですから」

「まあ……何言ってもだからもういいや。吉野が口きかないとかじゃないし」

「……」

「っか、なんで川から落ちたか」

「……事故です」

「ならいいが。まあ吉野はなんか俺の記憶消さない限り飛ばないんだもんな?」

「……」


うん。吉野の顔が急に赤くなった。思い出してるなこれは。


「……な。なんで今それ言いますかね」

「吉野が飛ばないようにな?」

「……先輩。今私の目の前にはたくさんの凶器がありますから」


とか言いながら空になったお皿を持とうとする吉野—―。


「馬鹿馬鹿。皿とかを持とうとするな」


うん。それはマジでダメだ。殺人事件にマジでなる。ということで俺は止めた。


「……」

「って、まあその様子だともういつも通りそうだな――水色パンツさん?」

「違いますよ!白ですから!って何言わせるんですか!!変態!!」

「……勝手に言ったし」


――。


とまあ……この後、畳の上でしばらく吉野とドタバタすることとなった俺だった。でもまあ……吉野がいつも通り?みたいだったので……良しだろう。うん。


「だから皿を持つな!」

「変態!変態!馬鹿!」


うん。俺ホントやられるわ。現在吉野の両手を確保したのだが……。


そしたら蹴られた俺でしたとさ。

痛かったよ。うん。こいつのキック力おかしいよ。強すぎるよ。サッカーでもしろよ。だな。うん。あれ?サッカーって蹴るのが強いだけじゃ……ダメなんだろうか?うん。まあ俺にはわからんから……とりあえず。サッカーしろ。とそのうち言っておこうと思う。うん。っかマジで痛い。うん。暴力反対だよ。

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