Gの話
KACの短編で、ついGの話を書いてしまいました。
最初に書くにあたって「ホラー」ジャンルにしてしまったせいですね。
私にとって虫に食われるというのは最悪におぞましいことなのです。
かなり昔のマンガで知ってる人はオッサン確定ですが、釋英勝の「ハッピーピープル」には虫に人が食われる話がいくつかありまして、けっこうそれがトラウマになっています。でも今でもあれば読んでしまいますけど。
「ハッピーピープル」の中でもかなり初期の話でタイトルは忘れましたが、人類が移住した先の星に人の拳くらいの大きさの肉食昆虫がたくさん生息していて、戦車で偵察に出た偵察隊が肉食昆虫に戦車の中に入り込まれて喰われる話とか、当時のマンガ全体の絵柄の中では微妙にリアルな絵で表現されると本当におぞましかったなあ。
拳くらいの大きさの平べったい肉食昆虫が人の口の中に入り込んで、入り込まれた人が「ギャーオー」と断末魔の悲鳴あげてるのとか、その昆虫がその人の頭を食い破って後頭部から脳みそ喰いながら出て来るのとか描かれてるんですから、たまったもんじゃありませんな。
他にも真鍋昌平のマンガでタイトル忘れましたが、復讐代行の話だったかな?
密室にターゲットを身動きできない状態にして縛りつけ、切り傷を負わせてそこにウジを何匹も仕込む。それでずっと放置。ウジがハエになりターゲットに卵を産みつけ孵化してウジになり、ターゲットの肉をエサにしてどんどん増えていく。最後には骨しか残らない。
うわ、気持ち悪るっ、おっぞ。
こんな死に方だけはカンベンして欲しい。
でも読んでしまうのは、まさに怖いもの見たさとしか言えません。
私が虫が苦手なのはこれらの数々のトラウマのせいですな。
そしてGなんですが、実は長野県北部、そんなに出ないんですね。
私が今住んでいる実家で見かけたのって高校の時に夜中にトイレに行く時に一度、昨年車庫のシャッターを開けたらシャシャッと車庫の中に入り込んだのが一度、くらいです。どちらもホウキで撃退。二度目の車庫に出た奴は掃き出して終了でした。
しかし、私が愛知県に住んでいた時は、スゲー遭遇しました。
暖かいところは違いますな、本当に。
季節は冬以外。特に夏は凄かったです。
私が友人とシェアして住んでた町営団地によく出たのは、黒光りするタイプではなく、何か茶色の迷彩柄みたいな奴らでした。
本当に、TVを見ていて視界の隅で何か動いたな、と思うと奴がいる。
夜中にトイレに行き、電気を点けると天井にへばりついて奴がいる。
天井タイプは飛ぶこともあり、飛ばれると本当にパニクります。
奴らは敏感で、こっちが気づき何か得物を取ろうと一瞬目を離すと、もう既にいたはずの場所から消えてしまいます。
そして、奴らの幻影に怯えたくない私は必死で奴らを探すのです。
見つけて、そーっと息を殺しゆっくりゆっくり奴との距離を縮め、パチン。
やった、と思うと潰れた奴の尻から白い卵がポロリと落ちて、どんなに生命力が強いのだ、と戦慄したりしました。
あまりに奴らが発生するので、Gホイホイを買って来て台所を中心に室内3か所くらいの場所に設置しました。
長野県北部出身で奴らの姿をあまり見かけなかった私は、そんなにかからんだろうよ、とタカをくくっていましたが、連日各Gホイホイには2,3匹の奴らが掛かります。
奈良県出身で歴戦のGファイターの友人が言うには、奴らには通り道がある。
その通り道を探し出してGホイホイを仕掛けると、一気に大量に効果的に駆除できるぞよ、と教えてくれたのです。
彼の教え通り、仕掛けた3か所のうち最も多く奴らがかかるGホイホイの位置は変えず、他のGホイホイを場所を少しづつ変えて設置し、最も効率的に一網打尽にできるポイントを割り出します。
その結果、各Gホイホイに一日平均5匹かかるようになってきました。
これは奴らの姿を見るのもあと僅かだの、ほっほっほ、とほくそ笑んでいましたが、ある日そんな見通しが激アマだったと思い知らされます。
その日、バイトから帰ってきた私は、途中で買ってきた買い物を台所の調理台の上に広げていました。
ふと、私の足元の辺りで何かが動いたように見え、そーっと目線を下に落とすと、いました、Gが。
足を上げて踏みつぶすなんてことは、無駄です。
敏感な奴らはすぐにこちらのアクションに気づき、姿を隠してしまうでしょう。
それに私は好奇心もありました。
なぜなら、私が見つけたGの進行方向には、バッチリGホイホイが設置されていたからです。
Gホイホイから香る、カツオブシ的な旨そうな香りにそのGは惹かれているのでしょう。触角をヒヨヒヨと動かしながら慎重にGホイホイに近づいていく、G。
GホイホイにGが入る決定的瞬間は、なかなかお目にかかれることではありません。けっこうそのGは時間を掛けて立ち止まり、触角ヒヨヒヨで辺りを探り、ササッと素早く、でも僅かな距離しか移動せず。
それを繰り返しようやくGはシュタッと素早くGホイホイに入りました。
入る直前まで周囲を触角で警戒し、危険はないと判断して入った先が粘着地獄で身動き取れず。
ふふっ、人間の英知には勝てんのだよ。
と勝利の余韻に浸ろうと思った瞬間、GはGホイホイの反対側から出て、素早く流しの陰に入り姿を消しました。
なんだなんだ、どういうことなんだ?
Gの体表を覆う油成分が足にも付いていて、粘着して動けなくなることを防いだか?
と思いGホイホイの中を見ると、Gホイホイの中には既にびっしりと10匹くらいのGが粘着成分で捕獲されていました。
逃げたGは、犠牲になった仲間の上を通って命永らえたのです。
ドラマやん。
「俺達はもう助からない、せめてオマエが助かるなら俺達は犠牲になる、俺達を踏み台にして脱出しろ!」 なんてやり取りがあったかも知れません。
まあすぐにそのGホイホイは捨てて新しいものをセットしましたけどね。
しかし、24時間程度で一か所のGホイホイで10匹取れてしまうって、どんだけ多いのだ、G。
その日から半日でGホイホイは変えるようにしました。逃してはコトですからね。
まあ、でもGを根絶するなんて相当難しいことです。
素直に、次の年の3月にその部屋は出て他のアパートに引っ越しました。
しかし、G。
別にそこまで人に害為す訳でも無いのに嫌われますよね。
何ででしょうかね。
まあ私も嫌いですけどね。
叩くと潰れて汚れるし、殺虫剤も何度も掛けねばならんし、しぶとい奴。
そんなG対策は、家庭用洗剤を掛ける、私はこれ一択になりました。
消毒用アルコールでもいいらしいです。
Gの体表を覆う油分を溶かして呼吸する気門を塞いでしまうかららしいです。
家庭用洗剤なら、後で拭けば問題ナッシング。
消毒用アルコールなら、放っといても蒸発しちゃいます。
小さいお子様のいるご家庭にお勧めです。
よくわからん私のGの思い出話でした。
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