新興宗教的な組織の嫌なところ




 またまたネタはTwitterから引っ張って来ましたが、7月18日のテレビ朝日モーニングショーで、ゲストコメンテーター有田芳生よしふ氏が「1995年秋に警察庁と警視庁の幹部の依頼で、対象者を聞かずに20~30人を相手にレクチャーを行い、その際に、『統一教会の摘発』を視野に入れていると聞いた」と発言。

 更にその10年後のこととして「幹部2人と話をした時に、10年たって、今だから言えることを教えてくれって聞いたんですよ。なんでダメだったんですか。一言ですよ。『政治の力』だったって。圧力」と語った。

 らしいです。

 それがTwitterで反響を呼び、#自民党って統一教会だったんだな がトレンドワードに1日近く入っているとのこと。

 さっき見たら27万tweetくらいこのハッシュタグで発信されているそうです。

 ツリーを見たら、これを真面目に信じている人が結構いるみたいですね。

 くわばらくわばら。


 私としては「へー、共産主義者がここぞとばかりに怨敵の統一教会と自民党を叩いてるな」としか思わないですが、これを真剣に信じてしまう人も世の中にはきっといるでしょう。

 それは怖い事だと思いますね。


 政治と宗教の関係については、「政教分離の原則」に基づいて考えるべき問題ですが、これはモーニングショーのようなニュースバラエティに任せてしまうと、たやすく番組制作者の意図に嵌められてしまいます。

 みなさんが各自で調べて考えてみてください。

 あなたがこの文章を見ているその端末でちょちょいと「政教分離の原則」と打ち込めば、教えてくれるはずです。

「政教分離の原則」は、政治家が全く宗教に関わってはいけない、というようなことではありません。

 政治家が特定の宗教を優遇するような政策だったり公金支出だったりを行うことで、優遇された宗教以外の宗教が弾圧されるということはこれまでの歴史上何度も起こっています。それを防ぐため、「思想信条の自由」を保証するための考えです。

「政教分離の原則」について問われた判例なども載っているHPを読むと、その辺りの線引きがよくわかると思います。

 政治家が一切宗教に関わっていてはならないとするならば、政治家に成れる人と言うのは完全なる無神論者だけになってしまいます。

 つまり、生粋の、筋金入りの共産主義者が多くを占めることになりますね。


 そして果たして自民党=統一教会なのか? についてですが、統一教会を優遇するような政策を自民党政権は行っていたのでしょうか。


 統一教会の教義は「人間の祖であるアダムとイブ。イブはアダムと結ばれる前に悪魔と結ばれていた。今の人間の殆どは悪魔とイブの間の子の子孫。アダムとイブの子孫というのは殆どいないが、数少ないアダムとイブの子孫が韓国。特に悪魔とイブの子孫が多いのが日本。悪魔の子孫はアダムの生まれ変わりの文鮮明に尽くすことで罪が軽くなる(=献金を多くすればするほど救われる)」というものです。

 まあ無茶苦茶です。

 ただ、自民党の政策は、こうした統一教会の教義を広める効果があったのか? というと全く無かったと言えるでしょう。

 つまりそこは完全に一線を引いています。

 公金=国家、自治体予算から宗教法人への支出があったかどうか? についての検証を行うべきでしょうし、予算でそうした点を見つけられずに通していたとしたら、それは与党だけの責任ではなくチェックし切れなかった野党にも相当の責任があると言わざるを得ないでしょう。


 今回のニュースバラエティに端を発したこの騒動は、そもそも本当に政治と宗教の関係を正したいと言う意図で行っているのであれば、まず、第一に宗教の固定票で国会に議員を送り込んでいる政党にもスポットが当たらないとおかしいのです。

 公明党。

 支持母体が創価学会ですね。

 何でそこは取り上げないのかといえば、与党である自民党を叩き、安倍晋三の行ってきたことを全て否定したいという意図があるためとしか感じられません。


 創価学会は統一教会と違って霊感商法は行っていないから、という言い訳をするかも知れませんが、それは違います。

 表立っていないというか、統一教会のように搾れる信者からはとことん搾ったろう、みたいな浅ましさがないだけで、好意を装い最近悪い事があったのは先祖供養が足りてないんじゃないのとミニお仏壇を勧めてきたりしますし、聖教新聞を取ってくれ、という勧誘も頻繁です。

 そもそも数十年前は創価学会の強引な集団での勧誘というのも全国ニュースでは取り上げられませんでしたが、各地で頻繁に起こっていました。

 同質の問題を孕んでいるのですが、全くそこには触れませんね。


 そして、統一教会による献金被害を犯罪として裁けないのは、生活が破綻する程の献金を、強制されて嫌々している訳ではなく信じ切った信者が自発的に献金してしまうからです。

 霊感商法に関しては、詐欺罪が立証され罪に問われることもあるでしょうが。

 こうした怪しいスピリチュアルによる被害というのは統一教会によるもの以外でも、オセロという女性お笑いコンビを松島尚美と組んでいた中島知子もやられていましたし、辺見エミリの母親、元女優の辺見マリも5億円近く自称霊能者に巻き上げられていました。

 中島知子の場合は、当時の事務所が入っていた物件の家賃を滞納し、大家に訴訟されそうになりましたが回避しています。ただ、中島知子本人は占い師に対して被害に遭ったという訴えは起こしていません。占い師を今でも信じているようです。

 辺見マリの場合は初代、二代目と二人の霊能者に財産の殆どを持っていかれ、ヌード写真集の売り上げも貢いでしまいました。その後経営していたダンススクールの売り上げを着服されていたことで洗脳が解けたそうですが、その時には霊能者は姿をくらましていたそうです。

 信者自らが自らの意思で財産を寄付してしまう場合は刑事事件としても民事事件としても原告不在です。寄付してしまった信者の家族については経済的に多大な被害を被った者ではありますが、信者が他の家族の財産物を勝手に処分して寄付してしまった場合を除けばこうした寄付を詐欺と問える立場ではありません。


 寄付行為は経済活動として認められたものですから、何らかの法に抵触していない限り罪に問えないのです。


 こうした行為を繰り返す集団を取り締まるには、教団の収入に課税せよ、という意見もTwitter上には多くありますが、事は単純じゃありません。

 教団収入に課税されるとなると、カルト宗教だけでなく伝統宗教も当然課税されます。貴方の近所のお寺や神社、地区の住民が檀家や氏子になって細々続いているところなどは大きな経済的ダメージを受けます。

 伝統的な宗教と新興宗教は線引きすればよいのでしょうか?

 それはどういった基準で見れば良いのでしょうか?

 新興宗教の中にも伝統宗教から枝分かれしたと主張するものは多々あります。

 仏教ならセーフ? なら創価学会はセーフです。法華宗から破門はされていても、一応法華経の教えということになっていますから。

 キリスト教ならセーフ? なら統一教会はセーフです。クソみたいな教義でも、一応旧約聖書を下敷きにしてます。

 神道なら? イスラム教なら?

 教義の正誤を決めるのは誰でしょうか?

 というよりも、そうした思想、信条の正誤を決める行為というのは「思想信条の自由」を踏みにじることとなります。

 正義感や義憤でもって、思想信条の自由を踏みにじっているのです。


 こうしたことがあるため、宗教団体に対する捜査というのはオウム真理教のような明らかな殺人、テロ、それらの準備というはっきりした罪状が無い限り簡単に行えません。

 霊感商法の被害者本人が被害を訴えない限りは刑事にも民事にも問えませんし、被害者の洗脳が解けて訴訟を起こしたとしても直接関わった教団内の人間しか罪に問えません。


 単純に政治的圧力で行えない、なんてことではないのです。


 私はこうした例えどんなアホな教義だろうと、一応は尊重されるべきと思っています。人間の精神というのはさほど強くありません。

 強ければいじめやハラスメントで精神を病むなんてことはありませんから。

 弱い人間の心の拠り所として機能するべきものが宗教だろうと思っています。

 憎むべきは、こうした人間の弱い心に付け込んだ勧誘、喜捨すればするほどに宗教的に報われるというような搾取、そして信仰心を利用した信者の利用だと考えます。


 ただ、こうしたことをする組織というのは今では新興宗教に限ったことではないのですね。

 マルチ商法や、共産党というのも、神こそ不在ですが人を洗脳するやり口や搾取の仕方など、新興宗教と50歩100歩ですから。


 有田芳生氏ですが、元ジャーナリスト現国会議員としてモーニングショーに出演されていましたけど、彼はバリバリの共産主義思想家です。所属政党は立憲民主党ですけども。

 彼の両親も共産党員で、彼の名前の芳生は、ヨシフ・スターリンから取られています。まあ誰でも編集可能なWikipediaでその辺りを確認して見て下さい。


 彼が統一教会だけを槍玉に上げているのは、統一教会も参加している国際勝共連合(共産主義打倒のために結成されたとされている)に対する敵意からでしょう。

 私の大学時代も、勝共連合=原理研究会というのは民青同盟から目の敵にされていましたからね。


 何にせよ、初めて聞いた方にとっては壮大な話の様に思える事かも知れませんが、これらも一つ一つ慎重にご自分で検証され考えをまとめられることが大事でしょう。


 例えば、有田氏の言う「1995年秋に警察庁と警視庁の幹部の依頼で、対象者を聞かずに20~30人を相手にレクチャーを行い、その際に、『統一教会の摘発』を視野に入れていると聞いた」ということですが、まず①何のレクチャー? ②どこでレクチャー? ③『統一教会の摘発』を視野に入れているというのは誰が言った? 幹部? 参加者? という点が不明です。

 そして「10年後2005年頃?のこととして幹部2人と話をした時に、10年たって、今だから言えることを教えてくれって聞いたんですよ。なんでダメだったんですか。一言ですよ。『政治の力』だったって。圧力」ということですが、①幹部2人って誰? 10年前に呼ばれた警察庁と警視庁の幹部と同一人物ってこと? レクチャー参加者が出世したの? ②その幹部2人はずーっと幹部だったの? 退職後とかじゃなくて? ③政治の圧力で潰されたというのであれば実際に何をどう摘発するため捜査してたの? 霊感商法? という点も不明です。

 ソースを明かすと情報提供者に危険が及ぶからでしょうか? 好意的に見ればそういうことなんでしょうが、ただ、実は重大なことを言っているようで、全く具体性のある話ではないのですね。何となく同じくテレビ朝日が制作するドラマ「相棒」のような警察組織の闇的なことを連想させるというだけで。

 基本、こうした具体的な根拠がない話をまともに信じてしまうのは、受け取る貴方は鋭い! というような相手を持ち上げて自分の意見に同調させる手法にはまってますので、良かったですね新興宗教の勧誘じゃなくてとしか言えません。

 レフティは勧誘にこういう手法使いますが。


 有田氏らの言う都合のいい政教分離の行きつく先は、宗教関係者、信者の参政権取り消しまで行く可能性がありますのでね。相当な弾圧です。


 ただ、まあ具体的にカルトを取り締まる法律などは有田氏らは考え提案できないでしょう今回は。

 ただただただ疑惑を扇動すること、しかもターゲットは統一教会と自民党だけに絞って来る筈です。

 何故提案できないかというと、それを成立させてしまうと自分たちの活動も引っ掛かる可能性があるからです。


 しかし、あの手この手で私たちを自分たちのシンパにしようとする勢力が沢山あります。

 やっぱり「あっそ、ふーん」と一度手前でしっかり吟味することが大事になってくるでしょう。



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