地域柄なんだろうか……はぁ



 今日も仕事の愚痴を書きます。


 何だかなあ。


 「私の小さい頃の人々」のところで触れたように、私の住んでいるところは温泉街です。

 昔は景気良かったのですが、もう今は寂れてきています。


 温泉街って、結構他の土地から地元を捨てて流れてきた人がいます。

 「湯煙りスナイパー」の世界みたいでしょう?

 源さんみたいな、殺し屋だった人が過去を消し去るために住み込みで名を変えて生きる、こんな人が実際に居てもおかしくありません。

 会ったことはないですけど。


 温泉が景気が良かった頃はどこの旅館も人手が欲しくて、とにかく過去をそこまで詮索せず、読み書き計算が怪しくとも仲居や下働きとして雇ってたんですね。

 旅館だけでなく飲み屋なんかでもそうです。


 そうした人たちはまた他へ流れていく人もあれば、この町に残って住み続ける人もいます。


 そうして温泉旅館が最盛期の頃にこの町に住み付いて、年齢を重ねられた人たちが介護保険のお世話になるようになってきています。


 こうした人たちは借家の隣人や同じ職場だった人たちと境遇が似ているので、お互いに何くれとなく世話をしたりされたりして暮らしてきました。ある意味人情が残ってた訳ですね。

 ただ、どんなに仲良くしていても、介護までしてくれる人というのは殆どいません。単純に皆同世代だから誰かが介護が必要な状態になっていると、他の人も介護が必要な状態かそれに近い状態になっていたりするからです。


 だいたい皆さんギリギリまで自分たちで何とか面倒見ようとされるみたいですが、けっこう大変なんですね、介護が必要な人の面倒を見るのって。

 いよいよ自分達の手に余るとなってから皆様役場に「何とかしてやってくれ」と言いに行くのです。


 私は何でだかこうした人たちの担当を回されることが多いです。

 私も普通に3世代で暮らしているある程度余裕のある家の担当とかしてみたい。

 まあそれはそれで別の苦労がありますけど。


 それでこうして他から流れてきた人って、自分の親族を捨ててきたというか断ち切ってきた人が最初に書いたように多いんです。

 まだ女性は何だかんだで自分が老いてきたと自覚すると音信不通だった親族に連絡を取ったりして、いざという時に備える人が割合として多いのですが、男性は「もう昔の家族には俺は死んだものと思ってくれって言ってあるから」みたいなことを言ってまったく連絡を取っていない人が一定数います。連絡を取っていないどころか、連絡先を教えてくれなかったり、やっと教えてくれた連絡先に連絡を取ろうとするのを「絶対に連絡するな」と言い張って止めたり……

 最もこちらが連絡を取っても「アイツには関わる気はない、そっちで好きにしてくれ」とか親族に言われることが殆どですけど。

 好きにできないから連絡取ってるんですけどねぇ……そんな単純な話じゃないんだよ本当に。


 まずケアマネジャーって「ケアマネジャーって何してんの?」で書いたように居宅サービス計画書、所謂ケアプランを作って介護サービス利用によってその人の生活がどういい方向に変わるのかを観察し、またケアプランに反映する、という仕事です。

 まあ他に利用者の相談業務とかもあるのですけど、本来はケアプランを作るのが仕事なんですよ。

 でも、他に身寄りがない方が急病や急な怪我なんかで入院する際には、病院などからそれ以上のことを期待されたりするんですよ。

 それ以上のことって何かというと「延命治療をするか否か」みたいな治療方針への同意だったり、入院時の保証人、身元引受人になることを求められたりです。


 厳密に言えば医師はケアマネが保証人、身元引受人になれないって知ってる場合が多いんですけど、医療相談員は知っていながらシレっと頼んで来る人がいたり、入院する病棟の看護師は普通に知らずにサインさせようとしたりしてきます。

 うちの地域が田舎だからかも知れませんけど。


 保証人や身元引受人って引き受ける訳にはいかないですよ。

 あくまで介護の計画を作る部分を引き受けているだけで、その人の全人生を引き受けてる訳じゃないんですから。

 この場合の保証人、身元引受人って、治療費の支払いを本人ができなかった場合に替わりに行うってだけでなく、死亡した場合の諸々の対応まで含まれるのですから、一職種の職掌を余裕で超えてます。

 親族や、奇特な友人知人にしかできません。


 治療方針の同意=決定だって、事前に本人の意思を確認した成年後見人なら別ですけど、ケアマネが決める訳にはいかないんです。


 だから、こうした親族と完全に連絡を絶ってる人の担当をする時は、祈ります。

 怪我も大病もしませんように、と。


 でも、するんですよねぇ。


 だって、自分の好きに生きているのですから摂生なんて全く縁がない生活だったりしますもの。

 運動しない、偏った食生活、酒とかタバコといった嗜好品に金を掛け生活必需品は節約する。

 そりゃ体悪くなるってもんですわ。

 それで、こういう人に限って口では「死んだら死んだで仕方ない、後は野となれ山となれ」って言うんですが、実際に体調が悪くなると必死で隣人知人に助けを求めたりするんですよね。

 それで、隣人知人は救急車を呼ぶくらいのことはしてくれますが、保証人や身元引受人まではやってくれません。

 だって、既に自分たちの手に負えなくなったので行政に丸投げしたと思ってるんですから。

 だいたいケアマネのところに救急車呼んだからあと頼むって連絡してきます。

 彼らはケアマネは役場の人って思ってるんですね。

 まあ介護サービス全般が役場の仕事と思ってるみたいですけどね。


 何でこんなことを書いてるのかと言うと、今日も一人そうした方が病院に搬送されたからです。


 その人も典型的な「後は野となれ山となれ」の人でした。

 先程書いたまんまの人で酒とタバコをコンビニに行って買ってくる以外は外出せず運動もしていません。

 食べる物はパンとか菓子。

 栄養が偏るからヘルパーに調理を依頼しようにも、元から自分で食事を作ることがなかったためガスコンロも炊飯器も冷蔵庫もない。仕方なく配食の弁当を1日2食取るようにしていましたがそれはほぼ食べず。

 おかげで体はやせ細ってガリガリです。

 認知症で会話はすぐ忘れ最近の出来事も覚えていませんし、暖房も操作方法がわからなくなっているので自分でつけることができず朝ヘルパーにガスファンヒーターのスイッチを入れて貰っています。

 寒いので冬は毎日こたつに潜って過ごしている。

 殆ど衣類は着替えないし、着替えても自分で洗濯しないで置きっぱなし。ヘルパーに洗濯を依頼する前は、脱いだ衣類を数日たってからまた着たりして。もう洗ったんだか洗ってないんだか覚えてられないんです。元々変にきっちりしてる人だから脱いだものは畳んで置いておくのでね。

 そんな状態でも本人は自分はいまだにしっかりしていると思っており、一人で生活できていると思っているのです。

 曰く、「やろうと思えば簡単にやれるんだけど、簡単にやれるからいつやったっていいんだ」だそうです。結局自分が最近どんな行動をしたかも覚えてないので、何時まで経ってもやれないんですけどね。

 もう数年風呂に入っていませんし運動もしていないのでデイサービス利用を勧めましたが「俺はそんなところ行くような人間じゃない」と言い張り断られ続けていました。


 そんな人が今日、たまたま久々に様子を見に来た知人に、こたつに潜ったまま「腰が痛くて動けない、助けてくれ」と言ったらしいのです。

 知人は親切に救急車を呼んで、私に連絡をくれました。


 何かねえ、その人が悪い訳じゃないけど、前に「ぐち」で書いたみたいに忙しい日に限ってそういうこと起こるんですよね。

 午後3時に、今日退院してきた人の家で本人、家族、サービス事業者で集まって状態確認と方針の会議をやってる最中に電話貰いましたからすぐにはこっちだって動けないのですよ。

 その人に何とか一緒に病院に行ってくれないか頼んだんですけどあっさり断られ、仕方なく私の携帯を救急隊員に伝えて搬送先の病院に伝えてもらうように頼んだんです。

 他に誰も動いてくれそうな人っていませんから。

 それに病状の確認はしないと、今後の方針も決められませんからね。


 その家の会議が終わった後、一度事務所に戻って病院に利用者情報提供書をFAXしてから急いで病院に行きましたよ。着いたらもう5時過ぎでしたけど。


 いやー、今回はラッキーなことに入院させてくれてましたけどね。

 身元引受人はなしで何とか。

 けっこう診察だけで返されたりすることもあるので、帰りの介護タクシーの手配やら福祉用具の電動介護ベッドの手配やらポータブルトイレの手配やらを考えて事業者に連絡取ったりしてたのが空振りに終わってホッとしました。

 何故入院できたのかと言うとその人は生活保護受給者だったから。

 ケアマネの代わりに保証人、身元引受人については福祉事務所の担当者が対応してくれたみたいです、助かった。


 それで病状は結局腰椎圧迫骨折でした。

 痩せて尻、腰の肉が無くなっていたのにこたつの座椅子に座るのに勢いよくドスンと座っていたので腰椎にヒビが入ったそうです。

 勢いよく座っていたのも足の筋力が落ちていたので踏ん張れずにそうなっていたのかも知れませんけど。


 しばらく入院させてくれるみたいですが、そんなに長くは居られないと思うので、彼が家に戻るに当たって、どうしたらいいのか頭を悩ませないといけません。


 本当にねぇ悩ましいです。


 地域柄仕方ないと言えば仕方ないですけどね。



 で、最後にこれだけは言っておきたい。


 と言ってもこの文の主題とは少しかけ離れますけど。


 何かネットの書き込みで、独身を謳歌しとる風の人いるでしょ?

 付き合ったり結婚したりするのが面倒だし金かかるし、独身で趣味に生きる方がナンボか人生が豊かになるって書いてる人。

 まあ、元気なうちはそうかもね。

 でもさ、人間好きな時に病気とか事故とかで死ねないから。

 一人で迷惑かけずに死にたいなら、自分でしっかり死ぬまでにこうして欲しい、これは誰にやって欲しいとか文書で残しといてくれよ。

 できたら後見人とかも決めといて。

 自分が死んだ後のことだから関係ないって思うかもしれないけどさ、実際死ぬのって苦しい訳だよ。

 死んだら死んだで仕方ないとか言ってる人が助けてくれとか言っちゃうくらいには。

 私は死ぬこと自体は経験してないけど、立ち会った限りでは、呼吸器疾患は本当に死ぬまで苦しそうだ。

 心疾患の痛みはシャレにならんらしい。

 一瞬でそれは終わらない。そこそこ長く続くんだよな。

 死にたいって気持ちや悟り切ったような気持ちって、痛み苦しみの前ではけっこう無力みたいだから。


 何か人に迷惑をかけない、のって多分無意識に迷惑を掛ける相手のことを親族で想定してるんだと思うけど、そうじゃなくて私みたいに仕事で関わらざるを得ない人達の方が圧倒的に迷惑かけられるから、そういう人の場合。

 一旦死にそうになって助けてくれって言って助かったら関わらざるを得なくなっちゃうんで。


 ケアマネ。

 福祉事務所。

 役場の福祉課。

 借家なら大家。

 民生委員。


 本当に、しっかり死ぬときまでのロードマップ完成させてから人生謳歌してくださいね。

 それか、男女性別問わず信頼できるパートナーたり得る人を見つけておいて下さい。一応内縁関係でも大丈夫なようですよ。信頼できる相手に迷惑をかけないためにもしっかりとリビング・ウイルや公正証書遺言を作っておくなどしておいてくださいね。


 まあ多分私はそういった人よりも先に死ぬだろうからいいけども。


 何か今日は疲れてるから、我ながら黒い部分が出てますね。

 何か久々に陰惨な作品書きたくなってきた。

 でも時間が取れないんだよなあああああああ。











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る