第28話

 バレットは困っていた。


 ビビアンと全く接触できない。同じ学園に通っているにも関わらず、ビビアンの周りには必ず誰か居て近付けない。主にマチルダとライオスの王族コンビが。


 ならば手紙を出そうと思っても、王宮のどこに出せばいいのか分からない。マチルダかライオス宛てに出しても、間違いなく握り潰されてビビアンの元に着かないだろう。


「そうだ! こうなったら下駄箱にラブレター作戦だ!」


 今時ベタ過ぎるとは思うが、何振り構っていられなかった。いそいそとラブレターを認めてビビアンの下駄箱にそっと入れる。


 そんなバレットの姿を物陰からじっと見ている人影が一人。



◇◇◇ 



「ビビ、おはよう」


「マチルダ様、おはようございます」


 マチルダが下駄箱を開けるとラブレターがハラリ。


「あら!? ラブレターかしら!? 今時珍しいわね!?」


「本当ですね。マチルダ様、モテモテじゃないですか~」


「誰かしらね?」


 マチルダは封を開いて中身を確かめる。


「ふうん、なあるほどねぇ」


「誰だったんです?」


「フフフッ、秘密よ」


 マチルダは意味深に微笑んだ。



◇◇◇



 バレットは緊張しながら待っていた。ラブレターで校舎裏に呼び出したビビアン。来てくれるだろうか...


「ゴメンなさいね、お待たせしたかしら?」


 来てくれた! バレットは喜色満面で出迎えて...そこで固まった。


「熱烈なラブレターありがとう♪ 嬉しかったわぁ♪」


 マチルダがニッコリと微笑んでいた。


「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」


 バレットは逃げ出した。その姿をやはり物陰からじっと見ている人影が一人。



◇◇◇


 

 バレットは早朝、誰も居ないビビアンの教室に居た。この間はきっと、ビビアンの下駄箱とマチルダの下駄箱を間違えてしまったんだ。


 今度こそ間違えないよう、ビビアンの机の中にラブレターを忍ばせる。机の中身をちょっと確認した。良し、ビビアンの机で間違いない。


 バレットは一仕事やり終えたような達成感を味わっていた。そんなバレットの姿をやはり物陰からじっと見ている人影が一人。



◇◇◇



「あら!? なにかしら!?」


 マチルダが机の中からラブレターを取り出す。


「またラブレターですか? 本当にマチルダ様はモテモテですね~」


「誰かしらね?」


 マチルダは封を開いて中身を確かめる。


「ふうん、なあるほどねぇ」


「誰だったんです?」


「フフフッ、秘密よ」


 マチルダは意味深に微笑んだ。



◇◇◇



 バレットはまたも緊張しながら待っていた。今度は中庭の奥にある四阿にビビアンを呼び出したのだ。


 今度こそ想いの丈をちゃんと伝えなくては!


 バレットは気合いを入れた。

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