第9話
「その女...もといビビアン様は、こともあろうにバレット様に暴力を振るったんですよ!」
そう言ってアマンダはバレットの腫れている頬を指差す。バレットはバツの悪い表情を浮かべている。
「事実か? ビビアン?」
「は、はい...で、でもそれは...」
「分かってる。カウンターのスキルが発動したんだろ?」
「は、はい...」
「ということはだ、バレット殿が先に仕掛けたってことだよな?」
ライオスがバレットを睨み付ける。それだけでバレットは竦み上がる。
「あぅ...そ、それはその...」
「いくら婚約者とはいえ、女性に手を上げるなんて最低だと思わないか? なぁ? どう思う? 同じ女として?」
「あぐ...そ、それはその...」
アマンダも何も言えなくなってしまった。
「ビビアンは何も悪くない。話は以上か? ではこれで失礼する」
ライオスはビビアンの手を引いて立ち去ろうとする。だがまたもやアマンダが引き止める。
「ま、待って下さい!」
「まだ何かあるのか?」
ライオスは露骨に嫌な顔をした。
「わ、私はビビアン様に虐められていたんです! 教科書をビリビリに引き裂かれて使い物にならなくされたり、廊下ですれ違う際、わざとぶつかって来て転ばされたり、噴水前に呼び出されて突き飛ばされ、噴水の中に落とされたり、階段の踊り場で待ち伏せされて、そこから突き落とされたりしました! 挙げ句の果てに破落戸をけしかけて私を害そうとまでしたんですよ! ホント怖かった~!」
そう言ってアマンダは自分の体をかき抱いた。
「あんなこと言ってるが事実か? ビビアン?」
「わ、私、そんなことしてません!」
ビビアンは真っ向から否定した。
「ビビアンはそう言ってるが?」
「ウソ吐いてるんです! きっと私とバレット様が仲良くしてたんでヤキモチ妬いたんですよ! 信じて下さいライオス様! わ、私、本当に怖かったんですぅ~!」
そう言ってアマンダはライオスにしなだれ掛かった。それを見たビビアンがプッツン切れた。
「やっかましいわぁ! このクサレビッチがぁ! 誰がてめえらにヤキモチなんか妬くかぁ! 逆上せ上がるのもいい加減にしやがれ! この淫売がぁ! てめえはそこのチンカス野郎と乳繰り合ってんのがお似合いだぁ! この売女がぁ なに馴れ馴れしくライに触れてやがる! アタシのライに気安く触れてんじゃねぇぞ! ぶっ殺されてぇか!」
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
アマンダが震え上がった。
「ハッ! わ、私ってば何を...」
自分が何を言ったのか理解したビビアンは、茹で蛸のように真っ赤になったとさ。
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