女の子同士は意外とあり?

百合ヘン隊 くろ

第1話 プロローグ

 朝のホームルームが始まるまでの時間。

 クラスのみんなは仲のいい子とお話しタイム。


「今日もかっこいいね〜叶彩とあ


 そう言って後ろからぎゅーっと抱きついてくる小動物のような女の子、朱音あかね


「また女の子に告白されたんだって?」


 ニヤニヤしてからかってくるのが紫織しおり


「なんで知ってんねん紫織」


「ふっふっふ、私はなんでも知ってるよ」


 いつもの3人組でワイワイやっているウチは九十九叶彩つくもあや、髪は束ねてポニーテールにしている。メイクもファッションも興味が無いし、部活にも入っていないけど運動は好き。女子にしては少し高い身長と小麦色に焼けた肌がトレードマーク。


「返事はしたの?」


「うん、ウチは普通に男子が好きやからって」


「えぇ〜、女の子同士も意外といいかもしれないよ?」


 そんなやりとりをしていると先生が来てホームルームが始まる。


 1日の授業が進んでいく。


 次は体育の時間。


 ウチは勉強ってあんまり...っていうか全然出来ひんから授業中は眠くて仕方ない。でも体育の授業は好き。頭使うより体動かしてた方が楽しいから。


 体操服に着替えている途中、視線を感じるなーと思って周りを見ると黒内茉桜と目があった。


 黒内茉桜くろうちまお、誰かと話している所は全くと言っていいほど見ない。黒い髪が肩まで伸びていてその黒髪が肌の白さを際立たせている。ウチは女の子にモテる...けど、黒内は男子に人気が出そうな感じ。まあここ女子校だからこんな事考えても意味ないか。


「叶彩〜行くよ〜」


 腕に絡まってくる朱音。それを見てニヤニヤしている紫織。3人で体育館に向かった。


 1日の授業を終えて、下校時間。


「ちょっと水泳部の顧問の先生に呼ばれてるから先帰っといて。2人とも今日はバイトやろ?」


「えぇ、一緒に帰りたかったのに。残念」


「ま、仕方ないよね」


 2人には先に帰ってもらい、先生の所に行く。


 先生の話はこうだった。

 ウチが部活に入らないのはもう諦めているけど、たまにでいいから泳ぎに来てほしい。部員のやる気アップに繋がる、との事。


 たまにならって事で了承し、職員室を後にした。



 何日か経ち、水泳部に顔を出した日の帰り道。


 肩にタオルをかけたまま、半乾きの髪も気にせず下駄箱で靴に履き替える。


「ねぇ」


 ん?


 校門から出るところで話しかけられた。


「話があるんだけど」


「なに?」


 沈みつつある太陽に照らされた女の子、黒内茉桜。


 絵になるなー。

 思わず見惚れていると黒内茉桜が口を開いた。


「好き、私と付き合ってほしい」


 あー、また告白か。

 なんで女の子にばっかりモテるんやろ。


 いつも通り言ってはよ帰ろ。


「ウチ女の子は恋愛対象としてみれへん、ごめんな」


「じゃ夏休みに入るまででいい、付き合ってほしい。それまでに私の事を好きにさせてみせるから」


「いや、だから」


「自信ないの?付き合ってしまったら本当に私の事を好きなってしまいそうだから、ビビってるんでしょ」食い気味に言ってきたこの女の子、黒内茉桜。


「はあ?ウチが誰にビビってるって?」


「ふふ...どうするの?」


「ええよ、夏休みになるまでの勝負や!」


「決まりね」


 すでに勝ち誇ったような笑みを浮かべる黒内茉桜。


 くそ...美少女め!


「帰りましょう」と言って手を握ってくる。


「なんで手繋いで一緒に帰らなアカンねん」


「ふふ、意外と照れ屋なのかしら?」


「照れてへん!」


「私の家、この学校から近いのよ。これから放課後は私の家に来てほしい」


「まあ...ええよ」


「じゃ、早速行きましょう」


「手繋ぐのは無し!」


「はいはい」

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