レベッカ一行の世界漫遊の旅 5 (ついに…再会?! 21)
私達はこの浜辺でお父様達が現れるのを待っていた。
いや、後でよく考えてみればここで待つ必要は全く無かった……と言うか、待つべきでは無かった。
ただ、あの時の私達は焦りのあまり冷静な判断が出来なくなっていたのかもしれない。
ザザザザザーン…
波音を聞きながら、私達はじっとジャングルの方を向いて待っていた。
すると1人、海の方を向いていたセネカさんが言った。
「おや?海からイカダがやってくるぞ?」
「イカダですか?まさか先程セネカさんが話していた人達ですか?」
私はセネカさんに尋ねた。
「うん、どうやらそのようだね。しかしイカダでここへやってくるとは……」
「あ、もしかして漂着者なのではないですか?どこかの無人島か脱出する為にイカダを組んで、この島に流れ着こうとしているのではないでしょうか?」
ナージャさんが自分の考えを述べた。
「なる程、ではこちらに向っていたのはイカダに乗った漂着者のことだったのか」
サミュエル王子が納得したように頷く。
「あ〜なんだ、そういうことですか?なるほど……」
私がそこまで言いかけた時……。
前方、100m程先のジャングルの葉が大きく揺れるのが目に入った。
そして次の瞬間、茂みの中から毛むくじゃらでマッチョ、すっかりワイルドな姿になったお父様が飛び出してきたのだ。
そしてその背後からはジョセフィーヌお姉様が続けざまに飛び出す。
「うおぉおおおおっ!!レベッカッ!!私の可愛い娘よっ!どれほどお前を探していたことか…会いたかったぞーっ!!」
お父様は下品な声で絶叫すると、こちらに向って駆け寄ってくる。
「はぁああああっ?!」
私はお父様の言葉に耳を疑った。
嘘でしょう?!あんなに国にいたときは私を蔑ろにしておきながら今頃そんな事を叫ぶなんて!ありえないっ!
「まぁあああっ!!なんっなんでしょうっ!!あの言い草は!!今まで散々レベッカ様をぞんざいな扱い方をしてきたくせに…許せませんわっ!!」
ブチギレたミラージュの頭からドラゴンの角がニョキニョキ生えてきた。
いつもの私ならここで止めるところだが、今回は止めない。
何しろ、お父様の背後からはまるで鬼のような形相をしたジョセフィーヌお姉さまがこっちに向ってくるのだから。
遠くの方ではエリザベスお姉さまとエミリーお姉さまがジャングルからはいでてくるのが見えたけれども…あの2人はそのまま放置しておいても問題がな無さそうだ。
「いいわ!ミラージュッ!!本能のまま暴れて頂戴っ!」
何しろドラゴンの姿に戻ったミラージュは最強なのだから。
けれど、私は気付いていなかった。
お父様達にすっかり気を取られていた為に、背後からやってくる最も危険な者達が私に迫ってきているということに―。
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