レベッカ一行の世界漫遊の旅 5 (ついに…再会?! 9 )

 身体に小さな雷を落とされ続けた腹黒オーナーはよろけながら厩舎へと私達を案内した。


細長い厩舎には、およそ30頭ばかりの馬がずらりと並べられていた。

あちこちでヒヒンと馬のいななきが聞こえ、かなり煩い。


「こ、ここにあなた方からお預かりした馬を預けておりますが…管理がずさんだった為、もはやどの馬がお探しの馬なのか、分かりませーんっ!!」


又しても腹黒オーナーが奇声を発した。

あまりにも無責任な発言に少しお灸をすえる為に、小さな雷を落としてあげたからだ。


「ヒーヒッヒッヒッ!レ、レベッカ様!も、もうこれ以上は勘弁して下さい。わ、笑いが止まりませんから…」


「レ、レベッカ…こ、これは…一種の拷問だよ…アッハッハ…ッ!く、苦しいっ!」


「お、面白すぎますわーっ!アハハハハハハ…ッ!」


3人の愉快な仲間たちは身を捩って笑っている。

うん、皆楽しそうで良かった。


「いい加減にしてくださいよっ!素直に話しているのに…何故、また痛い目に合わすのですかっ?!」


腹黒オーナーは涙目で訴えてきた。


「何故ですって?そんなの当然じゃありませんか。ずさんな管理をしておいて、更に開き直る…その態度が気に食わないからです」


腕組し、仁王立ちになって腹黒オーナーを睨みつけた。


「ヒィィィッ!と、とにかく本当に!どの馬がお預かりした馬か分かりません!どうか自力で探し出して連れて行って下さい!このとおりですからっ!」


ついに腹黒オーナーは藁まみれで、ところどころ泥が飛んでいる汚らしい床に座り込むと土下座してきた。


「…よろしい。仕方ないので今回ばかりは許してあげますが…その代わり、あのこ達が働いて稼いだお金の半分は頂いてきますよ?さもなくば…」


「わ、分かりましたっ!言うとおりに致しますので…どうかこれ以上痛い目に遭わせないで下さいっ!笑いものにされるにはもう懲り懲りですっ!」


「その言葉…絶対に忘れないで下さいよ?稼ぎの半分は頂いていきますからね?」


「はい!も、もちろんですっ!」


よし、後は私達の愛馬をここに呼ぶだけだ。私は厩舎にずらりと並ぶ通路に立つと深呼吸した。


そして…。


「ロミオーッ!!レティオーッ!!」


大きな声で名前を叫んだ。


すると…。



「「ヒヒヒーンッ!!」」


2頭の馬のいななきが響き渡る。


次の瞬間―。



バキバキッ!!


何かが折れる音が聞こえた。


そして、次に馬の蹄の音が近付いてくる。


ドカッドカッドカッ!!


見ると、2頭の馬が一直線にこちらへ向って駆けてきた。


「ロミオッ!レティオッ!!」


私両手を広げて彼等を待った。


「「ヒヒーン(会いたかったです!ご主人さまっ!)」」


「ひええええっ!!う、馬が…名前を呼ばれただけで来るなんて…」


腹黒オーナーは腰を抜かしている。


「さぁ?どうだ?馬は返してもらうぞ?」

「先程の言葉忘れておりませんわよね?」

「きっちりお金はいただきますよ?」


3人の頼もしい仲間たちは腹黒オーナーを取り囲み…私達は無事に稼ぎの半分と2頭の愛馬を取り戻すことが出来たのだった―。

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