いざ行かん!ドラゴンの国へ 9
「あ!貴方はもしや…長老ですかっ?!」
私が声を掛けると長老?さんは身体をのけぞらせた。
「何と!この私が長老だと一目で見抜いたのかっ?!流石は選ばれし者だ…」
長老さんは心底驚いた素振りを見せるも…。
「いえ、普通の流れで行けば大抵最初に現れる重要人物はそこの界隈の権力者で間違いないはずですので、占うまでもありませんね。誰でも分かることですから」
ナージャさんは仮にもドラゴンの長老に向かって、ものすごいことを言ってのける。さすがは選ばれし者だけのことはある。
「なるほど…流石は選ばれし者。素晴らしい推理力だ」
長老さんは満足げに頷く。
嘘っ?!またそこで褒めるの?!でも、あの方が長老と言う事は…。
「ねぇ、ミラージュ。あのおじいさんが長老と言う事は、ひょっとするとミラージュのおじいさんにあたる人なの?」
私は傍らに立つミラージュに尋ねた。
「あら?確かに言われてみればそうですね。あの方が長老様なら私のおじいさんと言う事になりますわね?」
そこで私は長老の前に進み出ると挨拶をした。
「初めまして。私はレベッカ・ヤングと申します。ミラージュは私にとっての母親のようなものであり、大切な友人でもあります。本当に彼女にはいつもお世話になっております」
そして頭を下げた。すると何故か長老様はじっと私を見つめ…次に驚きの表情に変わった。
「も、もしや貴女様は…?おおっ!何という事だ…っ!貴女様はあのエデンの民の血を引くお方ではありませんかっ!まさにこの世界の神!」
「え?」
するとナージャさんが驚きの声を上げる。
「まぁ!レベッカさんはそこまで凄い方だったのですね!やはりついてきた甲斐がありました!」
さらにその言葉を耳にした周囲を取り囲んでいた周りのドラゴン達も騒めいた。
「え?まさかあの方が?」
「あの偉大なる方…」
「何ということだ…」
「本当にお目にかかれる日が来るとは…!」
「えっ?!長老様はエデンの民の事を知っているのですかっ?!すごいっ!さすがですっ!長老様っ!ついでによく私がそうだと分かりましたね?」
「ええ、それはもちろん当然です。何しろエデンの民と言えばこの世界を創造された方々ではありませんか。ようこそ、われらの国『ドラゴン王国』へ!」
「「「…」」」
長老の最後の言葉に私達3人は固まってしまった。
「おや?どうされましたか?」
長老は不思議そうな顔で私達を見る。
「い、いえ…。少し意外だっただけです」
私が言うと、ナージャさんが頷く。
「え、ええ…中々のセンスですね…」
しかし、ミラージュだけはっきり物申した。
「ダサいっ!ダサすぎますわっ!何ですか?その安直な国のネーミングは!」
「なんとっ!安直だとっ?!」
再び体をのけぞらせた長老。
う〜ん…いちいちリアクションの激しい人だ。
「そうか…やはり安直だったか…」
「ああ、俺も200年前からずっと思っていた」
「あら、それを言うなら私なんか250年前からずっと安直な名前だと思っていたわよ」
「なら言わせてもらうが俺なんか400年以上前から…」
等など、周囲にいたドラゴン人間?さんたちが騒ぎ始めた。何だ、そんな昔から安直なネーミングだと思っていたならさっさと国名を改名すればよかったのに…。
しかし、それにしても…。
「レベッカさん、ドラゴン族って本当に長生きするんですね。ところでミラージュさんはおいくつなのですか?」
ナージャさんが私とミラージュに話しかけてきた。
「私?私は20歳ですわ」
「まぁ!それではまだ赤ちゃんのようなものですね!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!私は赤ちゃんなどではありませんわよ?」
するとそこへ長老さんが話に割って入ってきた。
「成程…やはり、お前は私の孫娘だったのだな?」
「お祖父様…」
遅れ馳せながら?孫と祖父の対面だ。
「うむ…我が息子に良く似ておる」
「私の父に…?」
「よし、まずは…ティータイムにしよう!」
長老様は満面の笑みを浮かべ、私達を見渡した―。
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