レベッカ一行の世界漫遊の旅 3 (ノマード王国の旅 16 )
「ああ〜美味しかった〜…」
すっかりきつくなってしまったお腹をさすりながら私は言った。スパイスの効いた料理があまりにも美味でついつい料理を食べすぎてしまったのだ。
「ええ、本当に美味しい料理でしたね」
ミラージュも満足そうにテーブルの上に山積みになった皿の上に空になった皿を重ねた。
「君たち、本当に良い食べっぷりだったね〜。俺はこの地酒が気に入ったよ」
サミュエル王子は少しだけ赤みを帯びた顔で満足そうにジョッキの中のお酒を飲み干す。
「お客さん達、外国人ですね」
不意に可愛らしい声が聞こえ、振り向くと私と同年代くらいだろうか?まるで水着のようなかなり際どい服を来た女性が立っていた。袖なしで深く切れ込んだ胸元の服はおヘソが丸見え、履いているスカートは幅が狭く、くるぶしまで届く長さ。極めつけは両脇に深い切れ込みが入っていることだ。目のやり場に困るような服である。
「まあ、随分派手な服ですわね。少し露出が多いのではありませんか?そんな格好をしていると良くない男に引っかかって痛い目にあってしまうかもしれませんよ?」
ミラージュは相変わらずズケズケ言う。
「そうですか?でもこの衣装、涼しくていいですよ〜」
そして私達をじっと見つめると言った。
「あら〜ひょっとしてここへは占いをしてもらいに来たのですか?」
少女は突然、サミュエル王子を見つめると顔を寄せてきた。
「え?!良く分かったね!」
サミュエル皇子は目を丸くし…慌てて視線をそらせた。偶然なのか、意図的なのか少女がサミュエル皇子の前に胸の谷間を近づけたからだ。
「ええ、それは勿論!だって私はこの食堂で占いをしているんですから!」
「へ〜…それはすごいねえ〜…まだ若いのに」
気付けばいつの間にか少女は私達のテーブル席に陣取り、私達をそっちのけでサミュエル皇子とだけ話をしている。
「いいえ、それほどでもありません。でも私の占いはよく当たる事で人気があるのですよ?」
「そうなのかい!占いの天才なんだね」
サミュエル皇子はお酒の為に赤くなっているのか、それとも少女の色気によって頬を赤く染めているのか良く分からなくなっていた。するとミラージュが私にコソコソと話しかけてきた。
「本当にあの少女、占い師なんでしょうかね?」
「え?どうしてそう思うの?」
私も小声で話す。
「だって、私達の服装…どう見てもこの町に住む人達とは違うじゃありませんか?ここの住民たちは皆露出度が高い服を着ていましたよ」
うん、確かにミラージュの言う通り。この町の住人たちは男性も女性もかなり露出の激しい服を着ている。きっとそういう文化の国なのだろう。
「おまけにそれだけじゃありません。ここはその名もズバリ『占いの町』です。訪れた旅人は皆占いが目的に決まってるじゃありませんか」
相変わらずコソコソと耳元で話してくるミラージュ。いい加減くすぐったくなってきた。
すると不意にサミュエル皇子の声が耳に飛び込んできた。
「それじゃ俺とレベッカが将来どうなるか占ってもらおうかな?結婚したら俺は子供は沢山欲しいな〜きっと俺とレベッカの子供なら可愛いに決まっているさ!ねえ?レベッカ」
サミュエル皇子は私の方を見て手を降っている。サミュエル皇子はいつの間にか顔が真っ赤になって、誰が見てもベロンベロンに酔っ払っているのが見て取れた。
「「「えっ?!」」」
すると私達の声がハモる。私達というのは、自称占い師と名乗る少女の事である。そして彼女は何故か私に敵意を込める目で睨みつけると言った。
「ええ、私には分かります!貴方と彼女は決して結ばれる事が無いって未来がね!」
ガタン!
そして自称占い師の少女は席を立つと、プンプン怒りながら食堂を出ていってしまった。そしてサミュエル皇子はまたしてもテーブルの上に突っ伏して眠っている。
「レベッカ様。このままサミュエル王子はここに置いて占い師を探しに行きませんか?サミュエル皇子が一緒では…占いをしてもらう時にレベッカ様の秘密がバレてしまうかもしれませんから」
「ええ、そうね…」
確かにミラージュの言う事も最もだ。私は自分の秘密をサミュエル王子にまだ話せていない。
「いつか…サミュエル皇子に秘密を話せる時が来ればいいのだけど」
「大丈夫です、きっとサミュエル皇子なら…レベッカ様を受け入れてくれますよ」
「そうね…。よし!それじゃ占い師を探しに行きましょう!」
そして私とミラージュは占い師を探す為、食堂に1人サミュエル皇子を残し、店を出た―。
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