第40話 護衛依頼(2)

 どうしてこうなったんだろう。


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 3日が経過した。

 どうやら、少し馬車の進み具合が遅いみたいで3日では到着出来なかった様で着くのは今日の夕方頃になるらしい。

 別に着くのが遅くなるのは構わなかったが、それとは別の事でアカリは、現在非常に困っている事が1つだけあった。


 それは


「ボス!周りに魔物の気配はありません!」

「ボス!もうすぐ、正午になります!昼休憩を挟みましょう!私は、食糧になるものを探して参ります!」

「あ、うん。了解。気を付けてね」

「はは!お気遣い感謝します。それでは、言って参ります!サム!エリオ様方とボスの護衛任せたぞ!」

「応!!」


 これだ。


 まるで徹底的に教育を施された軍隊の如き言動と行動をしている2人。

 護衛初日の夜に悪態をついて私に食糧を寄越せと脅してきたあの、バーソンとサムの2人なのだ。

 まるで、別人である。


 何でこうなったんだろう。


 アカリは、自分の事を若干引いた目をして見てくるエリオさん、エマさんとキラキラとした目で見てくるスーちゃんの視線を受けながら過去の自分の行動を思い出すのだった。


 ※※※※※


 護衛2日目の夜。

 私は、非常に苛ついていた。


 まず第1に、あの2人は、あの後本当に1度も起きて見張りを交代する事がなかった。

 アカリは、その事に内心非常に苛立ったがここで変に責めたりして依頼に支障が出てもいけないので我慢する事にした。


 しかし、朝になり起きてきたエリオさん達が私達に労いの言葉をかけフルで起きていて若干眠たい私を見て心配してくれた時…………


「ハッ!軟弱な奴だな。この程度でふらつくなんざ冒険者向いてねえな」

「俺らを見習って頑張るんだな」


 私は、その瞬間マジで2人の顔面を陥没させてやろうかと拳を握りしめて震えたがなんとか我慢した。

 本当に、その時の自分を誉めてやりたい。


 そして、第2にあいつらろくに飯が食えないからとエリオさんや私に食糧をわけろと言い張ってきたのだ。

 金を払えばわけると私達は言ったが…………


「仲間だろうが!」

「護衛してやってるだろ!」


 と喚いて非常にうるさかったが、こっちも引く気がなかったので2人は、ブツブツ文句を言ったが金を払ったので少しだけわけてやった。


 そして、第3にムカいつた嫌がらせなのか昨日は勝手に自分達だけで魔物の討伐をしていたくせに魔物が出る度に私に1人で討伐させてきた。

 流石に、私もエリオさんも文句を言ったが一切取り合わず…………


「昨日は、俺達だけで討伐してただろ」

「昨日は、サボってたんだから今日はお前が1人でやりやがれ」


 と言って本当に私1人で索敵、討伐全てやるはめになり『マジでふざけんなよ糞がっ‼️』と内心怒り狂って遭遇した魔物を血祭りにあげてストレスを発散させる事で精神を保たせた。


 そんな感じで、私は朝からずっと苛立ちが収まらずイライラとしている。


 今日は、流石に疲れたよ。

 昨日は、寝てないし眠いから寝させてもらお。


 私は、流石に眠いので寝ようと2人に見張りを頼もうと2人の方へと顔を向ける。

 そして、私は固まった。


 何故なら


「そんじゃあ、今日も任せたぞ」

「腹が減ってイライラしてんだ起こすんじゃねえぞ」


 私は、怒りが一周回って虚無感を感じて何も言えなくなった。

 ただ、コイツらに少しでも『今日は流石に見張りをしてくれると期待した自分が馬鹿だったなぁ』と感じて昨日同様馬車の側に座って見張りをする。

 ただ、流石に眠気と疲れが溜まってるので目を閉じて身体を休ませながら見張りをした。


 それから、しばらく経った時私は、側に近付く足音と何かを漁る音に気付き薄く目を開いて確認した。


「おい、食糧はあったか」

「あぁ、あったぞ。パンと果物がいくらか入ってた」


 目に映ったのは私のカバンの中を漁る眠っていた筈の2人の姿だった。


「おい」


 私は、その姿を見て虚無感から再び沸々と怒りの感情が沸いてきた。

 そのせいか、私の口からは自分でも驚く様な酷くドスの効いた声が出た。


「てめえ、起きてたのかよ」

「チッ!おい、今度こそお前の食糧を寄越しやがれ。痛い目にあいたくないなら言う事をきくんだな」


 人の荷物を漁っていたくせに、一切悪びれない様子の2人の姿に更に怒りが高まるが何とか怒りを抑え込みカバンを奪い返した後、何でこんな事をしていたのか聞く。


「ねぇ、昼間に食糧渡したよね。なのに、何で私のカバンを漁って食糧奪おうとしたの?」

「あ?あんな少ない食糧とっくに食い尽くしたっての。いちいち、金払うのも癪だからな。だから、寝てる隙に奪おうと思ったってのに」

「そうそう。何で、守ってやってるのに金を払わなきゃいけねえんだよ。守ってやってんだから俺達の言う事聞くのが筋ってもんだろ」


 アカリは、2人の言葉を聞いて『あぁ、コイツら性根から腐ってるんだなぁ』と思いそして、何を言っても心に届く事はないと思った。


「この剣で斬られたくなかったらさっさと、カバンを寄越しやがれ」

「お前の自慢の顔に傷をつけたくなかったら早く言う事をきけよ。俺は気が長くないからな。殴られたくなかったら早くしやがれ」

「…………もう良いや」


 とうとう、口で脅すだけでなく武器まで抜いて脅してきた事にアカリは、自分の中で何かが切れるのを感じ…………我慢するのをやめた。


「エアブラスト」

「ぐぅっ!?」

「がっ!?」


 アカリは、目の前の2人に向けてエアブラストを放ち吹き飛ばす。


「な、なにしやがるてめえ!」

「お前、覚悟出来てんだろうな」


 2人は、いきなり魔法を自分達に放ったアカリにそれぞれ剣と拳を構えて睨み付ける。

 それに対して、アカリは2人を心底冷めた目で見ながら言う。


「お前ら程度に何で覚悟なんてしないといけないんだよ」

「てめえ!」

「後悔させてやる!」


 アカリの言葉に逆上した2人は、それぞれアカリに対して攻撃をしかけた。

 しかし、その攻撃は酷いもので連携等出来ておらずバラバラ。

 なので、軽くバーソンの斬り下ろしを半歩ずれて避けると同時にサムの放ってきた右ストレートに合わして掌底をサムの顎に打ち付ける。


「なっ!?」

「ガハッ!!」


 サムは、顎を打たれた事で脳が揺れバランス感覚が上手く取れなくなり膝をつく。

 そして、避けられたバーソンは直ぐ様アカリに次の攻撃をしかけようとした。


 しかし


「なっ、ぐあ!?」


 振り向く前に後ろから膝を蹴られ崩れる瞬間襟を掴まれ投げ飛ばされた。


「オr「エアバレット」グア"ッ"!」

「遅い」


 バーソンを投げ飛ばした直後、サムは隙ありと殴りかかろうとした。

 しかしそれも、アカリは行動前にサムの顔面にエアバレット、空気の塊を撃ち込み横転させて阻害する。


「ゴホ、ガハ、クソが、ハァ!」


 投げ飛ばされたバーソンは、身体を地面に打ち付けた痛みで苦しさを感じたもののそれを無視して再びアカリに斬りかかろうとする。


 しかし


「フッ!」

「なっ!?ゴハッ!」


 今度は、避けられるどころか剣を振り上げた瞬間、距離を詰め腕を掴まれ背負い投げされた。


「遅いって言ってるでしょ?」


 ※※※※※


 その後も、2人は何度も起き上がり攻撃をしようとした。

 しかし、全て悉く行動前に阻害、攻撃出来ても軽く避けられカウンターされる繰り返し。

 そして、とうとう2人は体力が尽きてしまい倒れ伏した。


「何でだよ、何で当たらねえんだよ」

「おかしいだろ。何で、何で」


 2人は、自分達が本気で攻撃していたにも関わらず1度も掠りもしなかった事。

 そして、何より自分達が無傷。

 つまり、自分達は本気だったにも関わらず、目の前のアカリは、自分達を怪我させない様に手加減していた事にプライドが酷く傷つけられた。

 事実アカリは、2人のプライドをぶち壊す事が目的であり、わざと怪我させないでいた。


「どう?自分達が弱いと思ってた相手に見下ろされる気分」

「てめえ!」

「クソが!」

「うるさい。誰が喋っても良いと許可した。ウォーターボール」

「「ゴボッ!?」」


 アカリは、2人の顔面にウォーターボールを落として無理やり黙らせる。


「ねぇ?お前らは、恥ずかしくないの?。自分の確認不足を棚にあげて依頼主、私に飯をたかる。ムカついたからと大の男が見張りを女1人に任せる。嫌がらせで大の男が女1人に魔物討伐を押し付ける。挙げ句の果てに大の男がコソコソと女の荷物を漁る。恥を知れゴミ屑共が!!」

「な、何でてめ「喋って良いと誰が許可した〝ピッー〟野郎が!」ゴボッ!?」

「お前、な、何いきな「3度も同じ事を言わせるか〝ピッー〟が!」ゴハッ!?」


 今までの鬱憤を晴らすかの如く勝手に喋った2人に対してアカリは、〝ピッー〟が必要になる様な言葉で罵倒しながらウォーターボールとエアバレットを顔に向けて撃ち込む。


「今度もう1度、同じ様に喋ってみろ。貴様らの薄汚い〝ピッー〟を〝ピッー〟するぞ。わかったか!」

「ヒッ」ガクガク

「な、何だよてめえ」ブルブル


 2人は、突然豹変したかの様に罵倒し魔法を容赦なく放ってくるアカリに恐怖して震え上がる。

 しかし、アカリはそんな2人を無視して話を続ける。


「私は、わかったかと聞いたんだよ。わかったなら、はい、YES、Ita、Ναί、sì、Oui、Ja、Síと言え。わかったか!」

「は、はい」ガクブル

「い、YES」ガクブル


 そして、返事をして黙ったのを確認するとアカリは再び話し出す。


「いいか、お前らは〝ピッー〟だ。ちょっと力を持って其処らに居る弱い魔物を討伐出来るからと調子に乗ってる〝ピッー〟だ。お前らに比べたら、薬に使う薬草、街の困ってる人達を手伝ってるF、Eランクの方が数百倍役に立っている。なのに、今のお前らはなんだ?ほら、許可する言ってみろ」

「…………」

「…………」


 2人は、いきなり話を振られたもののなんと返せば良いのかわからず黙ってしまう。


「答えられないかこの〝ピッー〟共が。いいか、今の貴様らは、糞役にも立たない〝ピッー〟な〝ピッー〟野郎だ。ほら、言ってみろ。『自分は〝ピッー〟な〝ピッー〟野郎です』さあ!!」

「な、なん「〝ピッー〟が望みか」ヒッ!」

「わ、悪かったよ。俺達が「言えと言っただろ」グス、い、YES」


 アカリの有無を言わせぬ圧力に2人は半泣きになりながら言う。


「グス、自分は〝ピッー〟グス、な〝ピッー〟ヒグ、野郎です」

「自分、グス、は〝ピッー〟な、エグ、〝ピッー〟野郎です」

「理解したな。お前らは、〝ピッー〟な〝ピッー〟野郎だ。理解したなら、今後は誰が見ても誇れる様な人間になれる様に努力しろ。ルールを厳守しろ。上の立場のものを敬え。わかったか、〝ピッー〟共!」

「は、はい、ボス」

「い、YES、ボス」


 アカリは、2人の返事にうんうんと頷き満足する。


「良いぞ。さっそく、上下関係を理解している様だな。なら、今からするべき事は理解してるな?」

「「私共で、ボスの代わりに見張りをさせてもらいます」」

「よろしい。なら私は、さっそく寝させてもらう。くれぐれも、問題を起こさないように」

「はい、ボス」

「YES、ボス」


 そうして、アカリは2人に見張りを任せて眠りに付くのだった。


 ※※※※※


 それから、彼らは心機一転私をボスと呼び精一杯護衛を頑張りその結果、翌日から私はエリオさん、エマさんに引かれた目で見られる様になるのでした。

 めでたしめでたし。


 ってなるかい!!

 いや、おかしいでしょ!?

 何で、私ハー○マン軍曹みたいな事をやってるわけ!?いや、ハー○マン軍曹好きだけどさ。

 もう、1種の洗脳じゃんか!?

 深夜テンションか!?

 深夜テンションなのか過去の私!?

 まぁ、「糞が‼️ふざけんな」や「マジで死ねよ‼️」や「いつかぶっ殺す‼️」とか思ってた~ってあれ?おかしくない?

 道中の蓄積してた鬱憤的におかしくない様な気が。

 いや、やっぱおかしいわ。

 流石に、ボス呼びは変だって。


「ボス!昼食の準備が出来ました」


 そうこう、思い出してた間にサムが食事の準備が終わった事を知らせてきた。


「あ、うん。ありがと。ところで、何で私の事ボスって呼んでるの?」


 私は、純粋にボス呼びが気になったので尋ねてみた。

 別に、リーダー、さん、様、殿を付けて呼ぶ等他にもあるのにボスと呼ぶのが気になったのだ。


「え?上に立つものはボスと呼びますよね?」

「あ、うん。そっか」


 たいした理由はない様だ。

 あれかな、男子が子供の頃とかにリーダーをボス呼びしたりするのと同じ感じかな?

 それにしても、マジでどうしよう。

 ワンチャン殴れば治せるか?

 いや、治ったら治ったで最初みたいになるならこのままで良い方が。

 う~ん。どうすれば。


 私は、しばし考えた末に1つの結論を出した。


 うん。諦めよう。


 私は、どうせ今回の依頼が終われば別れるんだし性格が真面目になったんだからマイナスな事はないでしょと考えるのをやめた。


 ※※※※※


 その後、私達は無事予定通り夕方頃にカラクまでたどり着く事が出来た。

 エリオさん達とは、エリオさんのカラクに来た目的のとある商店前で別れ私とバーソン、サムの3人はカラクの冒険者ギルドに向かった。


「それにしても、ボス。スーシー様に泣き付かれてましたね」

「えぇ、『お姉ち"ゃん"ど一緒が良い"~』ってしがみつかれてて周りからも微笑ましく見られてましたね」

「お願い。言わないで」


 そう。さらっと流してたがスーちゃんと別れる時、滅茶苦茶泣かれた。

 それは、もう言葉では上手く言えないくらいに。

 だけど、私は私でやらないといけない事があるからエマさんと協力してなだめて何とか別れられたのだ。

 本当、周りから『あらあら』『まぁまぁ』と微笑ましく見られて結構恥ずかしかった。


「ボス見えてきました。あれが、この街のギルドです」


 サムの示す先には、オーレストと同じ様で少し異なる形のギルドの建物が確かに建っていた。


「だいたい、見た目は似てるのか」

「基本的に王都等のギルド以外は似たり寄ったりですね」

「王都は、冒険者の利用数も多いですし昇格試験等も行いますからね。その分とても大きいですよ」

「へ~」


 そうこう話してる間に私達は、ギルドの前までたどり着き中へと入った。


「そういや、夕方だから多いのか」

「ですね」

「しばらく待ちですね」


 目の前には、窓口に並ぶ長蛇の列が出来ており私達はその最後尾に並ぶ。


 15分20分位かな?

 ハァ、早く進まないかなぁ。


 その後、結局予想よりも長い時間待つことになりようやく、私達の番がまわってきた。


「お待たせしました。ご用件をお願いします」

「依頼完了手続きをお願いします」


 私と2人は、ギルドカードと依頼主であるエリオさんのサイン付きの依頼書を提出する。


「はい。かしこまりました。少々お待ちください。…………お待たせしました。依頼達成確かに確認しました。こちら、お返しします。他に、ご用件はありますか?」


 ギルドカードを受け取り私は、個人的に聞きたい事を受付嬢へと聞く。


「この街は初めてでして。何処か、オススメの宿ってありますか?」

「宿ですか」


 受付嬢に聞いてよい事なのかと若干思うがもう時間的にも遅いため、致し方なく聞くことにした。

 しかし、そんな思いも杞憂で受付嬢の方は丁寧に教えてくれた。


「でしたら、ギルド前の通りをしばらく進んだ先の十字路を右折した場所に『憩いの原』って宿があります。お手軽な値段で泊まれて食事、お風呂が付いてますのでオススメですよ」

「本当ですか。行ってみます」

「はい。またのお越しをお待ちしてます」


 ギルドを出た私は、さっそく宿に行こうと思ったが

 隣の2人がこの後どうするのか気になりたずねる。


「2人は、この後どうするの?」

「何度か行った事のある酒場に行こうかと」

「えぇ、数日ぶりに酒を飲もうかと思いまして」

「そっか、それじゃあ、お疲れ様。お別れだけど、問題起こさないようにね?じゃないと、知り合いの『血涙のジョニー』を連れてお仕置きに行くからね」

「「嫌~~~!!!それだけは、やめて下さいボス~~!!!??」」

「そんじゃあねぇ~」


 2人の声を背に私は、宿を目指して歩いていった。


 それにしても、軽くジョークでジョニーの事を言っただけなのにあそこまで怖がるとはヤバイな。

 ゴミ共今頃、ジョニー達に襲われて〝ピッー〟してるのかな?


 ゴミ達は、アカリが休んでいた1週間の間に知らない内に鉱山と言う名の地獄へとジョニー達に連れて行かれており連れて行った後に、カリナさんに教えられた為にあまり詳しく知らない。

 ただ、伝え聞いた話だと最後までゴミは喚いて抵抗しその度に、頭文字にディの付くキスをされたりケツを揉みしだかれて気絶していたとか。


 うっ……想像したら吐き気が。


「あ、宿屋着いた」


 自分で想像して気分を悪くしたもののアカリは、目的地までたどり着きさっそく中へと入る事にする。


「いらっしゃいませ」


 中に入ると、アカリよりも幾分か年上の女性が受け付けに立っており笑顔で出迎えてくれた。


「すみません。食事とお風呂付で3泊程お願いしたいんですけど」

「はい。かしこまりました。3泊でお値段が食事、お風呂付で銀貨1枚銅貨8枚になりますがよろしいですか?」

「はい。これで、良いですか?」


 アカリは、言われた値段をテーブルの上に置く。

 女性は、それを確認していき問題なかったみたいでアカリに部屋の鍵を渡してくれた。


「お風呂は、利用可能時間の間でしたら何時でも入浴可能ですのでご自由にお入り下さい。お食事ですが部屋にお運び可能ですがどうされますか?」

「この後、直ぐは出来ますか?」

「出来ますよ?」

「それじゃあ、お願いします」

「かしこまりました。それでは、ごゆっくりおくつろぎ下さいませ」


 私は、渡された鍵の番号の部屋に着くと、どさりと部屋のベッドに倒れこんだ。


「ハァ~久し振りのベッドだよ~!!ヤバイ、寝そう」


 アカリは、護衛の疲れから段々と眠気が襲ってきたが何とか我慢して耐えきった。

 しかし、運ばれてきて食事を食べお風呂に入った後眠気が限界でアカリは、ベッドに飛び込んだ。

 あの2人が、マトモになったとは言え見張りは交代でしていたし1日中索敵スキルを使用していたのに変わりはなかった。

 なにより、馬車での寝泊まりは、慣れていないアカリにとっては予想以上に疲れたのだ。

 なので、久々のお風呂に入りふかふかのベッドに飛び込んだアカリは、ものの数秒でスースーと眠りに落ちるのであった。


 ※※※※※


 月明かりのさす夜闇の中、月光に反射し美しく輝く金髪の男は、夜闇の中を歩き1人の男に近付くと声をかける。


「順調かい。ザクト君」

「我が主。はい、順調に進んでいます。明日には、全て完了するかと」


 ザクトと呼ばれた男は、金髪の男に現状の報告をし男は、満足そうに頷いた。

 そして、思い出したかの様にある事を伝える。


「それは良かった。そうだ、今回は私も同行するからよろしく頼むよ」

「な!?主自ら出向くのですか!?いったい、何故」


 ザクトは、まさか今回の事に自分達の主が同行すると思っていなかった為に非常に驚いてしまった。


「いやなに、何故か今回は面白いものが見れそうな気がしてね。ちょっと、見物しようと思っただけさ」

「面白いもの?それは、いったい」


 ザクトは、自分達の主の曖昧な言葉の意味が上手く汲み取れず聞き返した。


「さあね。それは、わからない。ただ、面白い事がありそうに思っただけさ。何、君達は何時も通り暴れてくれれば良いよ」

「了解しました。我が主の命とあらば」

「ハハハハ、待ち遠しね。いったい、何があるんだろうね。今回は、一段と楽しい夜になりそうじゃないか」


 男は、暗闇に浮かぶ月を眺めながら楽しそうに笑うのだった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ※注意

 ここから下は、本文とは一切の関係がありません。


 読者の皆様私の作品は、楽しんでもらえてるでしょうか?

 1ミクロン位でも、楽しんでもらえてれば幸いです。

 本題ですが、年末が近く作者のしている仕事が忙しくなるため最低でも1週間は投稿出来そうにないです。

 非常に申し訳ありません。

 投稿じたいは、やめるつもりはないので待っていただけると幸いです。

 それでは、皆様良い年末をお過ごし下さい。

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