第19話 大嘘
~プロプスダンジョン二十一階層 レダ視点side
「おい、結構離れたしここら辺でいいだろ? これ以上進むと壁が邪魔になる」
私の声を聴いて先頭を歩いていたジャヴェロットが振り向き槍を構える。
私も刀を構えた――なるほど強いな。
……
二人は互いに地面を蹴り、一気に間合いを詰める。当然ジャヴェロットの
―――――――――――――
『はやぶさ斬り』:高速で3連続攻撃をする。
―――――――――――――
何だ、この男の動きは? 何かのスキル技を使っているわけではなく、まさか戦闘センスだけで私のスキル技に対抗しているのか?
「次は俺っちの番だぜ」
そう言いジャヴェロットは無造作に槍を突き出した。一瞬反応が遅れたが『円月斬り』を使って受け流そうとした。刹那、槍の
「へー、すごいぜ 普通の剣なら今の攻撃で刃が腐食して崩れ落ちるんだぜ、もしかしてそっちも名の有る刀だったりするのか?」
まただ、また技名を
「何だよ、無視はつれないぜ、もっと会話を楽しもうぜ――」
――返事をしない私に向けて高速で
私は間一髪でそれを避けた。投げた槍はそのまま飛んで行きダンジョンの壁に深く
馬鹿な!?
地面を蹴り一気に間合いを詰めジャヴェロットを刀の間合いに入れる。
「『兜割り』」
―――――――――――――
『
―――――――――――――
ジャヴェロットに向かって飛び込み渾身の一撃を脳天に振り下ろす。が、なにか嫌な予感がし、このままただ思い切り振り下ろせば終わるはずの『兜割り』を途中で『キャンセル』した。
カキンッ
え? 力の乘っていない私の刀の一撃をジャヴェロットは槍で受け止めた。そしてすかさず槍を物凄い勢いで突いてきた。しかし技を途中で『キャンセル』したおかげで次の行動に移れ、辛うじて躱すことができ、私は一旦距離を取った。
痛っ、ほほから血が流れている。躱しきれなかったか。
さっきまで槍が突き刺さっていた壁をチラリと見た。――槍が無い……。
困惑している私にジャヴェロットが口を開く。
「引っかからなかったかぁ、よく避けたな、凄いぜ。今までの奴らは槍を手放すとすぐ馬鹿みたいに突っ込んで来てくれて、それで終了だったんだけどなぁ」
「
「これも?――ああそういう事か。今までの奴らはあれこれと考える暇もなく死んでいった様だからそんな質問されたのは初めてだぜ」
「と言う事は私の質問に答えてくれるのかな?」
「ははは、いいぜ、俺っちの相棒『
「なんだと!?」
「おっ? 驚いているぜ、魔法の詠唱ならともかく、
「
「ああ、気にするな、お嬢さんには関係のない話だぜ、他に質問が無いなら暗くなってきたしもう終わらせるぜ」
やはりこのエリアは時間の概念があるようだ。ただ地上よりは時間の進み具合が早いのだろう。先ほどよりかなり暗くなっている。
ジャヴェロットが槍を連続で繰り出してきが、『はやぶさ斬り』で槍をいなすと、ジャヴェロットは体制を崩し隙が出来た。すかさず二撃目、三撃目をジャヴェロットに繰り出す。槍の
私は更にジャヴェロットを追い「『兜割り』」を叩きこむ。ジャヴェロットは躱しきれず肩口を斬られ血を流す。刹那、私に向けて槍を投げてきたので距離を取る。
「おいおい、どういう事だ!? さっきと動きも威力も違うぜ、なんかのスキルか? あっ!? しかもさっき付けたほほの傷が治っているぜ」
「……」
「だんまりかよ、俺っちは色々教えてやったのにずるいぜ――あれ!? いつの間にかその刀全体に黒い
「……『
「『
「なんだ気になるのか? この刀は師匠から貰った。師匠の名は『村正』だ」
「師匠!? 村正? 村正だと、はははっ、そうか、そうかお嬢さんの師匠は村正か、なるほど、なるほど」
「もしかして貴様、師匠を知っているのか?」
「いーや知らないぜ、そんな
いつの間にか手元に戻っていた槍を持ちこちらに向かってきた。突き出して来た槍を『円月斬り』で受け流そうとしたが手元に槍を引き、刀を透かされた。
体制を崩した私は腹に槍の
「『
刀を素早く前に突き出しジャヴェロットに向けヒュンと音を飛ばす。ジャヴェロットの心臓を音が貫く。ジャヴェロットは一瞬ニヤリと笑みを浮かべが、右の口角から赤いものがドロリと流れるのが見えた。そして両膝が静かに地面に付き――倒れた。
―――――――――――――
『
―――――――――――――
ふぅ、なんとか勝てたか……私の方もこれ以上は体力が持たなかった、やはりお弁当は肉にするべきだったか。私はゆっくりとジャヴェロットに近づいた。まだ息はあるようだ。警戒はしているが流石に心臓を貫いたんだ。もう無理だろう。
私が近づいて来た事に気づき、ゆっくりと顔を私の方に向けて呟いた。
「お嬢さん強いな、俺っちこうみえても毎朝特訓をしていたんだぜ、それなのに負けたぜ」
「そうか意外と努力家なんだな、でも私は朝も晩も毎日特訓しているけどな」
「はは、そうか……俺っちも次に生まれ変われたら……そう……する……ぜ……」
そしてジャヴェロットはそのまま動かなくなった。
「ふぅ 終わったか……、本来なら戦利品としてその武器、しかも『神話級の
そして私は少年の元に急いだのだった――。
――それから数分後、先程まで死体だった物がもぞもぞと動き出す。
それはゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡し誰もいないことを確認すると、服を脱ぎだした、そして脱皮でもするかのように
すると、その中からもう一人の
「いてててて、あーあ、肩の部分が斬られてしまっているな」
「
「これは後で直してもらわないとダメだな、それにしても着てきたのが『リアルアバター用
それは『リアルアバター用
「しかし今考えると恥ずかしいよな、サービスで最後に思わず熱血格闘マンガみないセリフを言ってしまった。あー、あとはあれだな『
「そもそもあの村正が弟子を取り、しかも妖刀を渡すとはな。俺にはあのお嬢ちゃんがそこまでの
着替え終わった
「はぁ、ここの『
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