51. 惚香さん(前編)
実は私はこのたび、新連載「多人駁論2」を担当させていただくことと相成りました。というか、今読んでいただいてるこの文章がその記念すべき第一回なのですが……。
それじゃ先週号から始まったばかりの連載小説「嗅がせてあげるねっ!」はどうなるかって?
うふふふ、心配いりませんよ。ちゃんと続いてます。その証拠に今週号でも、この「多人駁論2」の次のページに載ってますから、続けて読んでくださいね。
ということはつまり、ななな、なんと私の連載が二つ並行して掲載されることになったわけです。どうですかぁ、すごいですかぁ、驚きましたかぁ?
――わひゃああああぁ!?
そうです、一番驚いてるのは私自身なのどぇっす! なんつってもダブル連載ですからねぇ。
いやあどうせ旦那がやってる出版社だから、ただの身内贔屓なんじゃね? とか言われないようにがんばります。
たとえ言われてがんばりまっす。負けまちぇん。現代社会の不条理を描くという落花傘先生の御遺志を引き継がせていただきます所存なんだからねっ!
というわけで落花傘先生のまねをして、連載初回限定特典として、私の最新短編小説をぴゅぴゅーん、ぺちゃーんと掲載しちゃいますよお。
おどろきですね。もものきですか? 読みたいですわねー。
それではさっそく読んでください。(やあん小説って本とおもしろいですこと)
『惚香さん』
谷沢辛子
「四次元学園出身の
えっ、四次元学園ってあの名門私立の? この人、もしかしてお嬢様?
でもどうしてこの学園なんかに……。
「――わたくし、ただの地球人には興味ありませんことよ。このなかに冥王星人・海王星人・天王星人・魔法少女といった方が、もしいらしてたら、あとでこのわたくしにお声掛けなさって。以上ですわ」
これは私が惚香さんと知り合った日の出来事。高等部一年一組での最初のホームルーム。
同じ私立でもお勉強はいま一つの
席は離れてるけど、彼女のこのちょっと変わった自己紹介がきっかけでお友達同士になったのです。
だって私、
この次の休み時間になって、私はさっそく惚香さんの席へと向かった。
「あのう」
「あら御機嫌よう。あなた確か、
「
「そうでしたわね野馬辛子さん。それでこのわたくしに何か御用ですの? もしかすると、あなた冥王星人?」
惚香さん、私の名前もう覚えてくれてたんだ。名字だけだったけど。
「あいえ、私……魔法少女なの」
「ワタシも」
「あたしも」
「えっ?」
ふり向いてみると、すぐ側に
「あら御機嫌よう。これで四人が揃いましたわね」
「四人?」
ということは惚香さんも魔法少女なのかしら?
「この学園の学則によりますと、四人揃えば新たに部活動を作れることになっていますのよ。知っていて?」
「そうなんですか!」
「ふうん」
「それがどした」
三者三様の返答となった。
よそからこの秀香学園に入ってきた惚香さんの方がこっちの学則を私たちよりもよく知っていることに、私はただ驚いた。モミジは無関心な様子。レンゲは若干攻撃的な態度。みんな性格出てますねぇ。
「PTA調査団ですわ」
「えっ」
「ん?」
「はあ!?」
またまた三者三様の反応。
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