エピローグ「エンドロール」

45. 落花傘飛高の話(死)

◆お知らせとお詫び◆

 本連載をご執筆くださっていました落花傘らくかさん飛高とびたか先生が、先日交通事故のため、お亡くなりになりました。この場をお借りしてご冥福をお祈りいたします。

 つきましては、今週号に予定しておりました「多人駁論たじんばくろん」の最終回は、掲載ができなくなりました。全社一同より謹んでお詫びさせていただきます。また来週号からの落花傘先生による新連載も中止いたしますことをご了承願います。


 落花傘飛高先生、どうぞ安らかにお眠りください。

 今までありがとう。そしてさようなら……。



「おいこらぁ谷沢タニサワ! 吾輩を勝手に殺すなー。吾輩はほれ、この通りぴゅんぴゅんしておる。持病もない。元気よれよれの六十九歳なのだ。せっくすてぃ・ないんだー。さん・に・いち発射。だぁーっ! たった三秒だぞ」

「あははは。済みません済みません。でもよれよれの六十九歳なんでしょ? て言うより先生原稿落としたんだから、こうやって誤魔化すしかないでしょ。最終回までなんとか無事にこれたかと思ってたのに、これじゃ終わり悪けりゃすべてダメですよまったく」


 確かに締め切りを守れなかった吾輩が悪い。反省。高く高く空よりも高く反省しておる。だがしかしだ。そうであるからと云って読者諸兄を騙すのは誠に不味い。決してやってはいかん。吾輩の為になあ。


「ふ~む……だがなあ谷沢。死んだ事にするのは度が過ぎると云う物だ。それではもう落花傘飛高の名前で書けぬであろう」

「原稿落とした先生にはもう執筆なんて依頼しませんよ。最近は他社よそでも書かせてもらってないんでしょ。それなら死んだのと同じっすよ」

「うっ……」


 厳しいなあ最近の谷沢は。


「だから『木星エッチ』には俺の妻・谷沢タニサワ辛子カラコが書くラノベを載せるんですよ。俺が言うのもなんですが、カラコは最近売れてるんすよ。体の方も熟れに熟れてますしねえ、わははは、って何言わせるんすかっ!」


 谷沢め。一人で燥いでおる。吾輩は人妻に興味はないのだ……だがしかし不味い事になったなあ。


「ふ~む」

「先生、聞いてます? まあそう言う訳ですから、先生はもうend roleエンドロールつまり、お役御免なんですよ」

「……ふむ。止むを得まい。最早これまでだ。吾輩は死ぬ。無念ではあるが潔く成仏する事にしよう。何万だ何万だ。有り難くない有り難くない。ああめん


 とまあこう云う次第だ。誠に面目なく思うておる。

 そこでせめて最後に本連載の登場人物の名前とその振り仮名、年齢・職業等を掲載しておく事にしよう。

 まあ映画の終幕に流れるend rollエンドロールと云う物の積もり、と云うより只の登場人物紹介であるのだが、折角であるから連載に登場しなかった者も並べておく事にする。それを見て連載を思い返して欲しい。人物関係が少々複雑であるからな。旧姓を確認する事も又一興。

 は? 何だと、もう忘れてしまっただと?

 ここ以外は読んでおらん?

 読む気すらしない?


「まあ好い、まあ好い。この歳にもなれば憤慨する気にもならん」


 処で、本連載では幾つかの社会問題にも触れた。吾輩が、交通事故で長男を早くに亡くしておる事もあり、交通事故に関する話題が多くなった。竹馬の友・霧介とその奥さんも同じ様に車の犠牲になってしまったと云う事もあったのでな。

 であるからと云って、何も吾輩は世界から車がなくなれば好いとまでは思うておらぬ。大多数の安全運転をしておる人々まで敵にしたくはないのでなあ。それに彼等とて、一部の作法の悪い運転手には迷惑しておる事であろう。自動車の製造業者がどう考えておるかは知らぬが、少なくとも彼等も安全運転を願うておる事であろうて。

 又、本連載で全く触れなかった社会問題もまだまだ多くの物が残っておる。

 過疎化、孤独死、詐欺、痴漢、建築偽装、万引き、ぶらっく企業、霊感商法、原子力発電、示威運動、鳥の流行性感冒、医師不足、反日本感情、消費税、不登校、密漁、薬物公害、非正規雇用、死刑制度、神社参拝問題、電算機のビールス、パンデミックなビールス、温暖化、異常気象、都市型災害、規制緩和、ゆるきゃら論争、ぷらすちっくゴミ問題、北極熊の事などなど挙げれば切りがない。

 果たして日本、否、この地球はどうなるのであろうか?

 吾輩は真剣に考え、そして怒りと不安とを感じておるのだ。


 ――お爺ちゃ~ん、魔女っおちゃっぴぃ始まるよ~、見るんでしょー


「おおそうであったか!」


 この様な下らない事を書いておる場合ではない。

 今夜は、おちゃっぴぃ祭りがあるのだ。ふー危うく見逃す処だった。と云ってもまあ竹子たけこが、ちゃあんと録画してくれておるのだがな。ふぉふぉふぉ。


 こう云う事でこれまで本連載を読んでくれた読者諸兄には、多大な感謝の気持ちを送りたい。今の処、続編を書く予定と云うか執筆依頼はないのだが、仮にその様な機会があれば、又是非とも贔屓に願い奉る。

 では御機嫌好う御姉様、て何でやのん!!

       【~了~】

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