真夏のホラー
ふと目が覚めました。
ドアを開けると、クーラーのついた部屋に、むわっとした熱気が入り込んできました。
真っ暗な、真夜中の廊下。
寝ぼけながらも、しっかりとした足取りでトイレに向かいます。ペタリペタリと、湿気で床はベタついてました。
灯りをつけずともわかる間取り。まるでプログラミングされたかのように私は意識せずとも右手はドアノブに、左手はスイッチに伸びていました。
パチり。
パッ、とトイレの電灯がオレンジ色に灯ります。
ふあ、とあくびをした時、ぶぅんぶうん、と言う音がしました。
それはまるでヘリコプターの騒音。しかし、こんな時間に、家の上空でヘリコプターなど飛ぶわけがありません。
その時私は、『シャッガイからの昆虫怪物』を思い出しました。
クトゥルフ神話という、ラヴクラフトという作家を中心に作られた創作神話があるのですが、『シャッガイからの昆虫怪物』は宇宙から来た羽虫のような怪物なのです。
ですがただの羽虫ではなく、人間より遥かに高い科学技術を持っており、その科学技術は異常な加虐嗜好を満たすためだけに使う、残酷な生き物です。そのために様々な拷問器具をつくっており、人間はそれこそ羽虫ほどにも見ていません。
それらは人間の脳へ侵入し、寄生します。寄生された人間は幻覚、特に虫が飛ぶような羽音を聞き続け、精神をすり減らされ続けるのです。
まるで『シャッガイ』のような羽音だと思いました。
ぶぅん、ぶぅん。
羽音はますます大きくなり、私は恐怖に駆り立てられます。
ですが好奇心に負けてしまい、顔を上げるのです。
トイレの電灯に、ハエが大量に集ってました。
怖かったです。
お久しぶりです。
夏なのでホラーを書きたいと思って、今季一番怖かったことを書きました。
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