【1-1】私、アルタ。

 私はアルタ。童顔だからちょっと間違われることも多いけど、実は今年で十八歳なの。オルテンシア王国・第五騎士団に所属している竜騎士で、戦場の先陣を切る騎士団長で、……恋する乙女!

 いつも身支度は念入りにやるわ。朝起きたら大きな鏡の前に立って、白いロングヘアに赤いリボンを通すの。黄色と青のオッドアイの瞳をじーっと凝らして、今日はどんなワンピースを着ようかなぁって考える。……まぁ、すぐ鎧に着替えちゃうから、あんまり意味ないんだけど。今日は真っ白なワンピースに決めたわ。

 自分の準備が終わったら、今度はお弁当作り。私、不器用だから、最初は全然上手く作れなかったんだけど、愛するあの人のために一生懸命練習したの。だからもちろん、二人分よ。私と、愛しのヘルガの分! 今日のオムライスにも、大きなハートマークを描いちゃった。

 ……よーし、これでバッチリよ! 騎士団のところに行く前に、ヘルガにお弁当を渡しに行かなきゃ!

「来い、ワイバーン!」

 竜騎士なんて、大層なジョブを貰っちゃったって思ったけど、今は結構満足してるの。まぁ、ヘルガを残して戦場に行かなきゃいけないのは辛いけど、こうやって気軽に召喚できるしね! それに、ヘルガはそんなに弱い男じゃないわ! 私がいなくったって、かっこよく生きていけるんだから!

「ヘルガのところに行くわよ!」

 今の時間なら、彼はまだ寮にいるはずだわ。とにかく、早く彼に会いたい! 急がなくっちゃ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る