レッスン9「ドブさらい (2/5)」

「な、なんてこと……」


 呆然と、真っ平らな石の断面を見つめる。


「お師匠様、できた、できまし……」


 そのとき急に、膝の力が抜けた。


「おっとっと!」


 お師匠様が抱き留めてくれる。


「よし、よし! それが魔法の行使による『疲労』さね」


「ひ、疲労……?」


 言われた通り、確かにものすごく疲れた感じがする。

 気がつけば僕は、肩で息をしていた。


「そうやって疲労を感じるってことは、お前さんのスキルに負荷がかかったってこと。つまり石を切断し続けることで、【無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックス】のスキルレベルを伸ばすことができるってわけさね。もしかしたら、すでにレベル2に上がってるかもしれないよ? 見てみな」


「は、はい……」


 自分の足で立ちつつ、


「【ステータス・オープン】!」



*****************************************************

【名前】 クリス

【年齢】 16歳

【職業】 冒険者

【称号】 (なし)

【契約】 魔王ルキフェル13世の従魔

     アリス・アインス・フォン・ロンダキアの弟子


【LV】 7 ←UP!!

【HP】 179/179 ←UP!!

【MP】 428/579 ←UP!!


【力】   28 ←UP!!

【魔法力】 57 ←UP!!

【体力】  31 ←UP!!

【精神力】 40 ←UP!!

【素早さ】 37 ←UP!!


加護エクストラ・スキル

  無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックスLV2 ←UP!!


【戦闘系スキル】

  短剣術LV1 弓術LV1 盾術LV1 体術LV1


【魔法系スキル】

  魔力感知LV1 魔力操作LV1 時空魔法LV1


【耐性系スキル】

  威圧耐性LV1 苦痛耐性LV5

  睡眠耐性LV3 空腹耐性LV5


【生活系スキル】

  ルキフェル王国語LV3 算術LV3 野外生活LV3

  料理LV3 野外料理LV3

*****************************************************



「わっわっわっ! お、お師匠様! スキルレベルが上がってます!」


「それは良かったねぇ」


 頭を撫でられてしまう。


「ほら、【目録カタログ】と唱えてみな」


「はい! 【目録カタログ】!」


 ブン……と、目の前に【ステータス・ウィンドウ】に似た画面が表示される。


「見てもいいかい?」


「もちろんです!」


「ここ、そう、このボタンをタッチしてみな。そう、それで【収納】日時順に並ぶから、ほれ、『半分になった石』をタッチしてみな」


「はい」


 タッチすると、手の上に石の片割れが現れる。

 いままで、中に手を突っ込んで取り出したいものを探していたことを思うと、びっくりするほど便利になった。


「石はもう捨てちまいな。で、続いて……これだ、『吐瀉物と汚泥にまみれたグラス』」


「うえぇ……」


「これを、長押しする」


「はい」


「すると、細分化されて表示される」


「わっ、本当です!」


『吐瀉物と汚泥にまみれたグラス』の右隣に、『グラス』と『吐瀉物』と『汚泥』が表示された。


「で、その中の『グラス』をタッチしてみな」


「はい」


 言われるがままタッチすると、手の上に綺麗な状態のグラスが現れた!


「これが強いんだ。めちゃくちゃ強い。【目録カタログ】と【万物解析アナライズ】の合わせ技は、世界最強の魔法と言っても過言じゃぁない」


「え、えぇ……」


「その威力の一端を、いまここで見せてやろう」


 お師匠様が、その手でもって僕の両目をふさぐ。


「な、何ですか急に!?」


「いまからお前さんに、儂の視界を貸してやる」


「視界を、貸す?」


「【視覚共有シンクロナイズド・アイ】」


「わわわっ!?」


 急に、視界に僕が映った!

 いや、この視界は――


「お師匠様の、視界?」


「そうさね。目は閉じたまま、儂の視界に集中おし」


「は、はい」


 お師匠様の視界で、お師匠様が杖を側溝に向けてかざし、


「【赤き蛇・神の悪意サマエルが植えし葡萄の蔦・アダムの林檎――万物解析アナライズ】」


 真っ赤な魔法陣が溝の上で一瞬だけ展開され、消える。

 そして、側溝の表面が青白く輝き出す。


「目を開いて、溝を見てみな」


 言われて目を開くと、自分の視界が戻る。

 その目で側溝を見るも、お師匠様の視界のようには光っていない。


「いま光って見えたのは、儂の視界の中だけのこと。光っているのは、【万物解析アナライズ】によって導き出された『除去すべき汚れ』さね」


 な、なんと便利な……ッ!!


「じゃあ、溝に手をかざして、目を閉じ、こう唱えるんだ」


 言われるがまま手をかざし、目を閉じる。


「【万物解析アナライズ】によりて導き出されし」

「……あ、【万物解析アナライズ】によりて導き出されし」


「『除去すべき汚れ』を【収納】せよ」

「『除去すべき汚れ』を【収納】せよ」


「「【無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックス】」」


 …………後には、ありとあらゆる汚れが綺麗さっぱりなくなった、磨き立てのような側溝があった。




***********************

 いつもありがとうございます!

 もしよろしければ、応援・高評価をよろしくお願い致します。m(_ _)m

 次回、【無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックス】と【万物解析アナライズ】を合わせたチート技によって、城塞都市中の汚泥が一掃!?

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