【1-2】
「明日は作らなくても大丈夫なの?」
「はい、明日は引き取りだけなので里見先生と千景ちゃんにお願いしてしまいました。予約分は全部作って冷蔵庫に入ってます。意外に25日って受け取り少ないんですね」
「ほら、
「そうでしたね。みんなで壁から外したりしました」
結花先生が「手伝ってあげるよ」と注文書を読み上げてくれる。私は箱の横にチェックした名前とマークを確認する。
このお店は、その珠実園の2階にある『たんぽぽ』という店舗兼食堂。
それまで、児童福祉施設の食堂と支援センターとは別のお部屋を使っていた。それが昨年、支援センターの拡充ということで、1階にあった施設側の食堂を廃止してしまった。
もともとこの建物はホテルをリノベーションしたものだから、2階にあった宴会場とレストランをリフォームして、在所している子たちとの食堂と、センターに遊びに来ている子たちも利用できるように共用施設として開放することにした。
この案は意外にも結花先生が出したものだった。
施設に入居している子たちと、家族連れで訪れている一般の方を会わせるのはどうかという懸念もあったけれど、副園長を務める
もちろん、精神状態によっては辛いという状況も想定されるから、そんな時に対応できるように個室も用意してある。
いさ初めてみると、結果的にそんな心配は杞憂に終わった。
在所している子たちも、なかなか外部の一般レストランに子供たちだけで入ることは難しいし、中学生では校則で禁止されているところもある。
それが、支援センターと一緒に統合したことで、一般解放時間は友達を連れてきてもOKとルールが変わった。
この珠実園が市の施設であるから、図書館などと同じ扱いになっているために、校則にも抵触しない。
飲み物と軽食でお喋りしている。テスト前はみんなで勉強しているなんて光景もみられるようになって、子どもたちの社会性への心理的ハードルが下がったとの報告もあがってきている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます