第39話 不揃いのカレー


 3時間ほど狩りをして本日2回目の教会にレベル16になった兜勢を連れてやってきた。怪しげな集団だと噂が飛びそうだ。


 マイさんは既に速度がやばい。迅動を使われると目で追うのもやっとのレベルに達していた。10秒間斬れ味も上がり刀の保護にもなる剣気を取得して硬い敵が出ても一刀両断にするそうだ。どこに向かっているのだろう。

 シーフ - 敏捷向上

 武士 - 迅動

      精神力向上

        剣気

 忍者 - 隠形

      敏捷向上

 残りSP3


 物静かなアイリさんは参謀アユミさんのスピードこそ最強という助言に丸め込まれ、忍者スキルを取っていた。持っていた鈍器との相性が良くないので俺の短刀二刀流と交換することになったが、サブ盾としてあちこちのカバーに入るには敏捷は必要かもしれない。今のところ必要な場面はなく、待ち伏せ対人くらいだろうが既に1度遭遇しているので2度目警戒だ。

 シーフ - 敏捷向上

 盾士 - 頑強向上

       挑発

 武士 - 迅動

      精神力向上

 忍者 - 隠形

      敏捷向上

 残りSP3


 後輩気質のノアさんは魔道士解放して魔力向上までと中解毒を取得して、完全後衛でヒーリングマッサージの主力になった。ノアさんに魔力矢とか取らせて危なくないかをこっそりアユミさんに聞いてみたが優しいから大丈夫とのことだ。蛇足でアイリさんは?と聞いてみると気が弱いだけで優しいわけではないとのこと。難しい。マイさん?天然。

 シーフ - 敏捷向上

 回復士 - 小治癒

       小解毒

         中解毒

       魔力向上

 魔道士 - 魔法矢

       魔力向上

 残りSP1


 中解毒の先は、毒なら何でも治す大解毒と病気を治す解病だった。解病とかお金の匂いしかしない。……がアユミさんからまずは魔道士スキルか大治癒あたりを優先しましょうと嗜められてしまった。



「夜のヒーリングマッサージはノアにお任せして、今日は私がお供します」


 自宅に戻り解散というところでアユミさんが1人残ってそう言う。大人しく自分のレベルアップそっちのけで皆のレベルアップだけしていたのはそういうことか。


「9層への階段探しなので結構大変ですよ?行ったり来たりで」


「大変だからこそお供します。寝袋も持ってきましたし」


 朝一教会に行くつもりマンマンで帰る気はないらしい。でも心強いのも確かだ。薄暗く、いつどこから敵がやってくるか分からない迷宮に1人で長時間は中々気が滅入る。おしゃべりしながら敵警戒なんてできるものじゃないが節目節目でリラックスくらいは許されるだろう。


「じゃ晩飯後にアユミさんのレベル上げがてらに階段を探しましょうか」


「はい!向こうで食べましょう!」


 時間を確認するともうちょっとで迷宮街の門が閉まる時間だ。


「ちょっと厳しそうですね。晩飯食べたら門が閉まっちゃいそうです。向こうの食材で作ったカレーがありますけど食べます?」


「いただきます」


 カレーを準備しているとスマホにメッセージだ。勝田さんから明日1人迷宮3時間よろしくとのこと。勝田さん本人から始めるそうな。


「明日、勝田さんから迷宮案内が入りました」


「来ましたね。誰が来るんだろ。店長かな?」


「勝田さんが来るみたいです」


「統括が来るんですか……。サポートに私とマイさんで付きますね」


「過剰戦力ですね」


 思わず苦笑いしてしまうがアユミさんは真顔で釘を刺す。


「魔道士スキルは隠し通しましょう」


「そ、そうですね」


 魔道士スキルを使う気は元々なかったが自分が前に出る必要もない。戦闘は2人にお任せしてしまおう。


「サポートお願いします」


「はい。お任せください」


「じゃ食べましょうか」


 一人暮らしなので不揃いの皿に不揃いのスプーン。何も同じ皿が揃わなくとも皆で美味しく食べれればいいのだ。パーティもそれぞれの好みとアユミさんの思惑でそれぞれの方向性でスキルを伸ばし戦闘も楽になった。やはり迷宮はソロで潜るものじゃない。

 そう思わせてくれるパーティになってきた。迷宮メインなのでまだ全然ろくに会話もしていないメンバーばかりだがアユミさんもいるし大丈夫だろう。



 カレーはとても好評でした。これはみんなに食べてもらうべきとのお言葉をいただいたのでまた作ろうと思います。


 

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