Parvāne

試金

蛾の死 (The Death of The Moth)

 玫瑰まいかいいらい おぼ御手みて

 相摩あいまし こぼち くたくながいの夜寝よい

 羅衣らい 無体むたい襤褸らんるく身

 ああまこといまし この目廢めしいのとこ


 す手のいざな

 流離さすら薦被こもかぶ

 ほむら立つ木末こぬれ


 は来いと言い 蛾は恋に

 浄玻璃じょうはりが如き澄み渡り

 つち 打ち砕き すだ土器かわらけ

 逢瀬おうせとでもおもうたか たわ


 嗟嘆 嗟嘆 嗟嘆 嗟嘆 嗟嘆 嗟嘆 嗟嘆

 果敢かかん簡朴かんぼくの感ある痴漢が情夫いろ気取りで来たん?

 呵呵かか、枯れた奸物かんぶつほふるは乾物かんぶつ潰すより容易たやすいが如何いかん

 どんだけの驕り高ぶりか貴様きさん 脂下やにさがったその増上慢

 心の臓停めるだけじゃ済まさん この味寝うまいは既に破談

 痩骨そうこつすじすら残さん 寄越よこさんかその妄断もうだん

 爛爛らんらん燦燦さんさん 今宵のさんに捧げ奉り

 一から十まであやまりな思い上がり あなや虚しい

 そもそも道行みちゆき つらくて重い

 になうにあたうとお思い? お前如きに?

 逃れようがもう遅い 川辺かわべの船ども既にもやい 

 帰りのはしことごとく燃やし 今ここに木偶でくぼう根絶ねだやし!


 ぐ手の甚振いたぶ

 歯揺はゆらぐ歌唄い

 焼き焦がすはしゃ


 は来いと言い

 は恋に

 消炭が如き焦がれ死に

 おもは焼け落ち 影形かげかたちない

 わざは成れり すず


 詐取するよりは餓死するほうがいいがしかし

 お前には喰わせねばならんこの辛い菓子

 素面しらふのしがない下僕しもべしたためた歌詞

 しかも門外の小僧と言うたからわり無し

 死んで死んで死んで死んでお前はしまいに

 終わりではないどこかに置き去りにされたちま

 奪われ尽くしたところからまた生まれ変わる

 ヨブんなもの棄てろヨナ手ぶらで進モーゼ

 嗟嘆 嗟嘆 嗟嘆 嗟嘆 いやこれは悪魔でなしに

 あの唯一の存在に捧げた歌詞

 動詞ても存在としかイ名詞できない以上は

 言葉自体 最初から無意味なのかもしれない

 だが何だろうか! それでも言わざるを得ない

 たぶん全てが言い尽くされたわけじゃない

 もう言葉しか無いんだ 私は続けるだろう

 まだ言葉が有るんだ このまま往こう!


 にも不思議な焦がれ乞食

 果たせるかな哉 智慧に目合まぐわ

 無明むみょうだてらに 言祝ことほがれて まじな


 なりいしとむらほむら


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