イケメンストーカーに目を付けられましたが全力で逃げます!

@karamimi

第1話 イケメンに告白されました

真新しい制服に身を包み、鏡の前に立つ。私、足立渚あだちなぎさ。今日から高校生になりました。



そう、あの忌まわしい記憶を葬り、今日から新しい自分に生まれ変わるのだ。



忌まわしい記憶は何かって?


あれは中学の卒業を目前に控えた日、私はずっと仲良しで大好きだった男の子に意を決してラブレターを渡した。



自分で言うのも何だが、あんなに仲良しだし絶対うまくいくって思っていた。

なのに…



次の日、私のラブレターは掲示板に貼られていた…


そう、あの男はあろうことか私の一世一代の告白を、みんなに晒したのだ!



あの事件以来、あのくそ男をもちろん話すことなく卒業した。そして私は誓った!

もう絶対誰も好きにならない!男なんて大っ嫌いだ~~~!



そう思っていたのに…



 「足立さん、君に一目ぼれしました。俺と付き合ってください!」



入学して1ヶ月、平和に過ごしていた私に訪れた突然の告白。



それも相手は学年一のイケメン、ファンクラブまである片岡隆太かたおかりゅうた君だ。



でもこの人、学年一の美女、山岡さんと付き合っているって噂だよね。

これって、からかわれている?



くっそ~、なめてくれるじゃない!


そう思った私はもちろん



「お断りします」



そう言うと、私は彼の前から“がに股”で去ってやった。



「ギャハハハハ、渚マジウケる。それでがに股で逃げてきたの?」



そう爆笑しているのは、親友で幼馴染のマリとサラだ。ちなみに2人とは、高校も一緒でクラスまで同じ。



「そうだよ!だってありえないでしょ、学年一のイケメンに告られるなんて」



「あんたさ~、男運なさすぎでしょ。有馬君の時といい」



有馬君…


そう、私の一世一代の告白をさらした男の名前だ。


二度と聞きたくない、その名前。



「マリ、その名前二度と出さないで」



「ごめんごめん、でもなんで片岡君は渚に告ったんだろうね。案外本気だったりして」


マリが私をからかう。


隣でサラも爆笑している。


本当に失礼な2人だ。



「それはないでしょ!大方罰ゲームか何かじゃない?ほんと、いい迷惑よ」





そして次の日。


私が片岡君を振った事が、学校中の噂になっていた。



「ちょっと!ブスゴリラってどういうことよ。ゴリラはかっこいいわよ!」


私の隣で猛烈に怒っているのは、親友のマリだ。私は片岡君を振ったことで、一部の女子から反感を買ったようで、靴箱や机の中に悪口を書いた紙を入れられている。



靴箱に入っていた悪口の内容が「ブスゴリラ」だったのだ。



マリは男の趣味がとても変わっている。とにかくゴリラ顔の男が大好き。そう、ゴリラをこよなく愛しているのだ。



もちろん、彼氏もゴリラ顔。



そんなマリからしたら、ゴリラとブスがセットになっているのが許せないらしい。



ちなみにサラもちょっと変わった性癖の持ち主だ。とにかく筋肉が大好き、2言目には「上腕二頭筋が良いのよ」なんて言っている。



そんなサラの彼氏は、ボディービルダーの卵だ。2人ともめちゃくちゃ可愛いのに、男の趣味は微妙なのよね…



「それにしても、酷いわよね!私ちょっと片岡君に文句言ってくるわ」



マリはすごい勢いで怒っているせいか、今にも片岡君の元へ行きそうな勢いだ。



「ちょっと待って、何で片岡君なの?」



「だって、もとはと言えばあの男があんたに告ったことが原因でしょ。だからよ!」



え~!片岡君は関係ないんじゃないかな?



「それなら私も付いていくわ。マリだけじゃあ不安だしね」



サラまでそんなことを言い出した!



「2人とも待って、とにかくもう少し様子を見よう!ねっ」


私は必死に2人をなだめる。



「わかったわよ!でもこれ以上酷くなったら文句言いに行くからね」



とりあえず納得してくれた2人。



良かったわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る