第59話 なよ竹のかぐや君(8月13日)

 今日は丸一日かけてひとの価値について発言をした者が炎上していたようであるが、一次資料を重視する私も今回はそれを確かめぬようにした。

 確かめられなかったのではなく、敢えて確かめなかったというのはそれがそのまま相手の利益に繋がるからであり、おかしなことを喧伝している者に銭を投げるような真似はできぬ。

 銅銭を眉間に当てるのとはわけが違うのだという冗談はさておき、表現者である以上は自らの表すものに最大限の注意を払う必要がある。

 私もどこまでできているのかと問われれば苦しくなってしまうが、少なくとも文章や動画として一度上梓してしまえば、個人の思いは拙くとも「意見」となってしまう。

 これがフィクションであればまだしも、エッセイやコメントとなると最早避けようがない。


 炎上した案件を見ていくと、


「言いたいことも言えないのか」

「言論の自由があるだろう」

「個人の感想をムキになって叩かなくても」


などという言葉が浮かび上がってくることもあるが、最後に挙げたものには一理あるとはいえそれも含めて「自らに由る」のが自由の意味である。

 心の底から言いたいことを言いたいのであれば自らの良く知った者に話せばよい訳で、それを公の場で語る必要はないのである。


 では、どこまでが公の場であるのかと言われれば、私は一定時間以上記録を残せる場は全て公と考えている。

 もしくは多数を前にした発言も同様である。

 つまり、五人ほどの親しい間柄の者で交わした言葉以外はほぼ公のものと考えており、それより先は特に注意深くあろうとしている。

 とはいえ、これはあくまでもノンフィクションを主体としたときであり、フィクションであれば登場人物にはそれなりに好き勝手な言葉を使わせている。

 配慮も何もないではないかと怒られてしまいそうであるが、無論、思慮分別のない言葉を並べようと言っているのではない。

 ただ、ヒトラーなどが人道的見地から指示してホロコーストが中止となれば仮想戦記となってしまう。

 現実において悲劇を繰り返さぬよう、仮想世界の中で伝え思考していくことは大切なことではないか。


 また、長らく読み継がれてきた作品を改変することもまた、おかしな話である。

 今とは異なる価値観において紡がれたものを否定し、その時代の色で塗りつぶしてしまうのは現代人の驕りではなかろうか。

 むしろそれは当然と思っていることをそのまま受け継ぐだけとなってしまい、いざ反する考えが出てきてしまったときに、そちらへ流されることとなってしまう。

 文学作品や音楽、絵画や映像作品として長らく残るものはフィクションであるが故に考えの種として残されるべきである。


 もしかすると、例の発言の主は言葉として知ってはいても、姥捨て山などの話を掘り下げて考えたことはないのかもしれない。

 知識や思考力というのは必ずしも思慮深さや知性に繋がるものではなく、それを鍛え育てなければ思わぬ落とし穴に嵌ってしまう。

 そうした悲劇を繰り返さぬためにも、丁寧に語り継ぐべきことは語り継がねばなるまい。

 そして、同時我々のできることは人を容易に貶める「意見」については淡々と反対していくことだけである。


 それにしても、ユーチューブ側もこれを放置し続ければ今のマスメディアと同じ位置に立つことになりかねぬが、それはいらぬ心配なのであろうか。


【本日の出来事】

◎新型コロナワクチン 一回目接種

 経過は明日の記載になるだろうが、今のところ腕の痛みとそれによる動きの鈍さが気になる程度である。

 インフルエンザの皮下注射でも触れば違和感を覚えるが、その延長線上に在るものではないかと思って経過を見ている。

 注射は余程の手練れであったのか、それとも等しくそうなのかは不明であるが殆ど痛みを感じなかった。

 なお、腕が磁石になることもなければ、電球も点かず、小説家としては物足りない。

◎アメリカで初めて白人が減少

 報道では多様化の進行という言葉を用いていたが、絶対数が減少しているのであれば生まれてくる人数とこの世を離れる人数とが逆転しており、これを少子化と呼ばずして何と呼ぶのか。

 むしろ、多様化という割にはまだまだ民族による経済などの格差は大きいのかもしれない。

◎九州・広島を中心に豪雨

 まるで梅雨のようであるが、実際に秋雨前線が生じているため原理としてはそれに近いのであろう。

 北海道で確か三度を記録したということであったから、発達した寒気が強い勢力の小笠原気団と鍔ぜり合っているのかもしれない。

 もしかすると今冬は厳しい冷え込みになるのかもしれないが、それよりも今はこれ以上の被害が出ぬことを祈るばかりである。

 我が家も土砂災害に見舞われることは無かろうが、水没には十分に気を付けたい。


【食日記】

朝:ヌク

昼:焼肉:タン塩・カルビ・ハラミ・焼き野菜、わかめスープ、キムチ、冷麺、オールフリー2

夕:ハンバーグ、ウィンナーとミックスベジタブルのトマトスープ、ウィスキーお湯割り2

 料理名が適当であるのは冷蔵庫の余りもの処分に乗り出したからである。

 とかく冷蔵庫に余裕がなくなってきていたので盆休みの間に消費したかったが、腕の状態によっては難しいかもしれない。

他:お茶

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