徒然草をちょいとリスペクトいたしまして

鶴崎 和明(つるさき かずあき)

第1話 ガラスの心を持つ人は自らそれを打ち砕く(6月16日)

 好きな動画投稿者が投稿されたほとんどの動画を削除された。

 淡々と書けば短い文字列であるが、その衝撃はいつも通りの昼食を摂りながら本作を自傷行為のように立ち上げようと思ったほどである。

 最近はあまりにもショッキングな出来事が多すぎたせいで、少し虚ろなところがあったような気もするが、そのガラスの覆いを打ち砕くには十分な威力を持っていたようだ。

 今は荒ぶる感情という名の猛獣をどのように手懐けるか少々の不安を抱えている。

 いや、手懐けようというのが、既に驕りというものかもしれない。

 たまには心の赴くままに日々の想いと出来事と食を書き連ねてみよう。


 さて、動画ないしは創作物の削除についての是非はまた別日に酒が入ったところで書こうと思っているのだが、そちらはある程度批判的な内容になることを許されたい。

 今回の内容はあくまでも削除した思いに寄り添う形で考察するので、あまり過激ではない、と思う。


 今回の出来事の発端は、動画に残されたコメントを見た投稿者が、動画内で行った自分の行為に驕りを感じてその動画に嫌悪感を覚えたことである。

 そこから過去の動画を自ら見るに忍びなくなり、ほぼ全ての動画を削除したのであるが、削除されたこと自体は私も残念に思う。

 牧歌的な雰囲気の中で詩的な表現に彩られた動画の世界観は、デジタルオーシャンの荒波に揉まれた現代人の心を癒すものであったからだ。

 ただ、いくら嘆いたところでそれは意味のないことである。

 ましてや当該コメントを叩いたところで作者が満たされるものではなく、失われた動画が戻ってくることもない。

 というのも、この一連の出来事は作者が繊細な美意識を持っていたからこそ起きたのであり、それがなければ動画そのものが生まれなかったからである。


 振り返ってみた時に、作者は見るに堪えないという言葉を使われていたが、それは自分が知らず知らずのうちに美意識に反した行いをしていたと思ったためであろう。

 透明感のある心を持てば持つほど、そこに濁りが混じるのを嫌がるのかもしれない。

 そのような思いに至るには、私は少々濁りが過ぎてしまったようである。

 そして、自らに透明性を求めた人は自らを苛烈に責め立て、己が心をも打ち砕く。

 このような時に、他人の擁護も応援も慰労もどれほどの意味を持つのだろうか。

 あるいはそれもまた新たな拳となってその繊細な心をさらに打ちつけているのかもしれない。

 私のように汚れ切った生き物には、それらがよく効くのであるが、果たしていかがであろうか。


 いずれまたこの方の動画を拝見したいとは思っているが、これも私の驕りをぶつける行いであり、この小文自体がそれに等しい行いである。

 文屋らしい憎たらしさで、人の不幸で飯を食っていると言われれば幾ばくかの恥ずかしさこそあれ、それを以て自らを貶めるような繊細さを持ち合わせてなどいないため心が折れることはないだろう。

 その一方で、私には日常に散らばった風の輝きや物に取り憑いた人の想いを漏らさず書ききるという芸当は放棄せざるを得まい。

 物書きとして清濁を中途半端に併せ持った私にはお似合いである。


【本日の出来事】

◎ドラマ「孤独のグルメ」シーズン6を一通り見終わる。

 第一話の串かつ屋の情緒があまりに見事で、それ以降は僅かな飢餓感が残るシーズンとなっているように感じた。

 強いて言えば、第七話の皿うどんと第十話のアジフライは輝いていたが、初回のインパクトを覆すには至らなかった。

 なお、第五話の久住氏のテンションの低さは聞いていたが、確かに他の回と比べると明らかに違っている。

 また、パクチーがよく出てくるというのはそうした時世を考慮したものだろう。

◎「まん防」解除後の熊本市中心街の人手 時間帯により最大で40%増との報道

 解除された14日の夜に見て回った感触と大きな印象の差はない報道である。

 しかし、夜間に夜の街へと出る人影を見た限りでは、人数の上では大きな差はなかったかのように思う。

 百人に二十人をプラスしても、20%の増加であり、二十人に四人をプラスしても20%の増加である。

◎カープ先発ゼロ勝で交流戦終える

 私が広島にいた頃のカープはやっとAクラスかというところであり、それからセリーグ連覇を成し遂げ、再び失墜している。

 諸行無常といえば少しは格好がつくのかもしれないが、あまり褒められた話でもない。

 知り合いにファンも多いため奮起を期待したいところではあるが、病巣は深そうであるため期待に留めておく。

 今、広島の居酒屋に行けば落ち込んだファンに囲まれるだろうなと思ったところで、飲み屋はそれどころではない状況であったことを思い出して、少し暗澹たる思いとなった。


【食日記】

朝食:卵かけご飯(小盛)

昼食:ごつ盛り(味噌)・梅しらすおにぎり・鶏唐揚げ・野菜ジュース

夕食:アドボ(終わり)・梅と鶏のカンパーニュサンドイッチ・大根カレー(初日)・ウィスキーお湯割り3杯

他:タリーズブラック1本・強炭酸レモン500mL1本

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