短歌集

清水優輝

2019年

わるふざけで地球を滅ぼした夜 きみが立つここ ここがあるだけ


着替えてる彼女にこっちを見ないでと言われてぼくは竪琴を持つ


殻から落とされる黄身の震え 飛行機の中で見た夢醒めずに


体育の授業を見学するように生きてる日々おなかが痛くて


恋人の唇の先のもっと先、見えたんですおばけ出たんです


ツイキャスに頼る深夜は終わらない 僕は知らず 空飛ぶペンギン


裸体の目 無知が巻きつき鞭欲し 痣は増えても消えていくから


掴めない おもちゃの宝石でよかったの私 落ちてくマスカラ不意に


柘榴よりグロい食べ物ってなあに 愛していない男を抱いて


上履きを置いたのは誰 枯れ葉落ち団地の階段 音が遠のく


今日こそは言おうと思う思うけどプールの底で光るおはじき


唇よ映画館の照明が落ちる瞬間はじめて動く


消えたくて知らない路地裏を歩くのびたTシャツ あくびする猫


道端に咲いてる花を踏みつけた 短歌を止めて私だけを見て


多様性から落ちてしまうぼくらは宇宙へ行くか海で暮らすか


スニーカーの土を払う 残ったお酒 散った花びら


たんぽぽを摘んだやさしさ朝を呼び 機嫌良いからジャムも塗るんだ


暗闇にうずくまるきみ抱き締める 腕の中には砂と星屑


リストカットもろくにできず腐らせた 孤独 自意識 明日 未来 僕


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