【完結】国立ユイナーダ学園高等部⑨〜どうやら私《わたくし》は悪役令嬢らしいですわ!

砂月ちゃん

本編

第1話


皆さまこんにちはユイナーダ学園高等部特進科二年のサーラですわ。




長期休暇も終わり、久しぶりに学園に戻ってまいりましたら、変な方に目をつけられましたの。




隣国から我が学園に転入されたという、魔術科一年の方で『聖女様』だと伺いましたのに何だかと同じ匂いがしますわね……




始業式に大遅刻されたのに、あの方なんと、講堂の扉を、大きくお開きになられましたの。




通常、騎士科でも【ブースト】のスキル持ちの方が、つまり4人がかりでお開けになるのに……





そして何故か『魔術科』の席に行かずに、『特進科』二年の席にいるわたくしの近くにおられた、金髪縦ロールの子爵令嬢のビビアン様の隣に座られ、急に怯えられて気絶されましたの。




始業式の後、ビビアン様はとても怯えた目で、

「私、あの方に何かしたのでしょうか?」

と泣いておられましたわ。




ビビアン様は、わたくしの家の寄子の令嬢ですので守らないといけないと思い

『彼女といったい何があったのか』

を確かめに、医務室に行きましたら、彼女は既に寮に戻っていましたの。




医務室の先生のお話では、

『これで、サーラのフラグはバッチリね。』

『でも、どうしてサクラの木の下に、クリスは来なかったのかしら?』

などと言いながら元気にスキップしながら出て行かれたそうです。




意味がわかりませんわね……




数日後、今度は放課後【文具館】に小説部の皆様と、足りなくなった文具を購入しに行く途中ですれ違いましたら、あの方は突然何もない所で倒れ、わたくし達の方を物凄い目で睨み




「サーラ様!足を引っ掛けて転ばせるなんて、酷いわ!」

と、おっしゃいましたの。




5mほど離れた道の反対側で……




わたくしスタイルには、自信がありますけどそんなに長い足は持っていませんわよ?




更に数日後、わたくしはキイナ様とその婚約者のレオル様と一緒に、学園のサロンに向かっておりましたの。




すると廊下の反対側から、ものすごい勢いで、あの方が此方に向かって走って来られました。




しかも、手に何か持っていらっしゃいます!

恐ろしくて、わたくし一歩も動けませんでしたわ。




しかし、流石は騎士科トップのレオル様です。

すかさず前に出て、体当たりしようとしたあの方の手首を掴んで綺麗に投げ飛ばしてしまわれました!




キイナ様もわたくしを庇ってくだいさいましたの。

「「大丈夫か?サーラ嬢!」」

お2人は息もぴったりに、わたくしを心配して声をかけてくださいました。




「大丈夫ですわ。

お2人共、お助け頂いてありがとうございます。

お礼に本日のサロンのお茶代は、わたくしに出させてくださいませ。」




「「いや、これくらい騎士として当然の事だ。」」

(キイナ様淑女科ですけどね。)

わたくし思わずキュンときてしまいましたわ♡




コレがよく、エリー様がおっしゃっている『』というモノですのね。




因みに、この時あの方がお持ちになっていたのは、【ピンク色の包みに入った】だったそうですわ。




風紀委員会の事情聴取であの方は、

『レオル様にを渡そうとしただけなのに酷いわ!』

と、おっしゃったそうですの……




アレ、でしたのね。




『おかしいわね?

レオルって一番落とすのがチョロいはずなのに……

やっぱり最初に、を間違えたのが……。』

『何でサーラの髪型、縦ロールじゃないのよ?』

などと更に訳のわからない事をブツブツと言いながら帰って行かれたとか。




】というのは、もしかしてわたくしの事でしょうか?




確かに初等部に入学したばかりの頃、そんな髪型をしていましたが、エリー様に

『物語に出て来る悪役みたいですから、辞めた方がいいですわよ。』

と言われて、今はハーフアップにしていますの。




そして、先日ビビアン様があの方に目をつけらた為に、『聖女様は、巻き髪縦ロールがお嫌いらしい。

天罰が下らない様に、巻き髪縦ロールは、辞めた方がいい。』

と、いう噂が広がり、巻き髪縦ロールの方は、学園では見掛けなくなりましたわ。

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