将来の夢

「将来の夢は死ぬことです。」

私は皆の前ではっきりとそう言った。


場面が急に切り替わる。

先生と私、放課後の教室で向かい合っている。先生が諭すように聞いてきた。

「どうして、死にたいことが夢なの?」

「だって、自分が今言った夢が叶わなかったりしたら悲しいじゃないですか。死ぬことが夢なら、死は絶対に訪れるから絶対に叶えられるんです。」

「どうしてそう思うの?」

「だって私は今、こんなに悲しい。私も昔は看護師やら教師やらになりたいと夢を語ってた。けどいつのまにか周りは皆大人になって様々な夢に向かって頑張っている。私は今に取り残されたまま、努力もせずにただ悲しんでるだけ…

先生、こんな私でも夢を叶えたいんです。」

先生は悲しげに目を伏せて言った。

「君なら叶えられるよ、きっと…

でも、悲しむ人がいることを忘れないでね」

横を見ると、母親が座って泣いている。

私はお礼を伝え、静かに教室を出て行った。私の夢はそこで終わった。

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