XVIII　THE MOON.　月

　双魚宮(魚座)　紫がかった赤

　月が示すのは「幻想」「虚偽」「不安」「移り気」です。

　このカードの目に見えない神は、魂の旅路において守護し導いていくジャッカルの姿をした神アヌビスです。

　月はギリシャ神話の「月の女神アルテミスが夜は地獄の女王ヘカテになって地上を歩き回るのを犬だけには見えるので吠える」からとっていると思われます。

　このカードは概して「虚偽」と欺きです。

　精神を象徴する顔は「不安」げな犬と狼に穏やかな視線を向け、月の三つの位相である知性の不確かさ、錯覚、変化を表しています。

　魂は物質的な生活の不幸、霊的な「幻想」を嘆いています。

　太陽の光を反射して黄金に輝く月は夜の支配者です。

　彼女の王国は夢の世界、潜在意識の中にあります。そこには、私たちの進化の歴史が蓄えられています。

　実際、月のカードには、進化そのものが描かれています。

　私たちが海を故郷としているということを、前景の水面から這い上がろうとしている古生物甲殻類で表しています。

　石は鉱物界を、雑草は植物界をそれぞれ表しています。

　動物界の荒々しい野生の面が月に吠える狼によって、大人しい従順な面が犬によって表されています。人間はこの2つの生き物によってシンボライズされています。野蛮さが次第になくなり、純化されてきました。

　月は、すべての人の心の中に眠る潜在意識の夢であり、アストラル状態です。

　潜在意識から秘められていた「移り気」な欲求が、浮かび上がってくることを暗示します。

　月のカードは蟹座ではなく、魚座と関連を持っています。

　魚座は十二星座では直観力を表します。

　魚座の悪い影響を受けている人は、だまされやすく、現実よりも空想の世界を好み入り浸ります。

　月は想像力、またそれに由来する恐れや不安を表します。

　「月」は想像の中の領域であり、真の実在の影です──私たちは想像の中の世界を世界そのものとして見ています。

　「月」の道の終わりに待っている未知の領域には、普段の私たちが作り出してしまっている投影を越えた真の現実があるのです。

　月は光を反映します。どのような反映かを見るには光を表す「太陽」、「隠者」のランプ、「カップの10」の虹などへと目を向けてみることも重要です。

　これらのカードが意味していることを、質問者が自分自身のものの見方に縮減してしまい、結果としてそれらを明瞭に見られなくなってしまっている可能性もあるのです。

【正位置】

「幻想」朧気、謎、無意識、曖昧、不安定、心もとなく悩ましい。見えないところにいる敵、先が見えない、見通しが暗い。(極端な状況では)狂気。隠れた要因。

「虚偽」だます、偽り。嘘、欺瞞、正直でない、欺く、裏切り、信用できない。中傷、誤解を受ける。

「不安」迷い、心配、動揺、(予期せぬ)変化、危険。

「移り気」不誠実さ。スキャンダル、思わぬ出来事、気の変わりやすさ、移ろいやすく気分次第で変わる。

「超常」奇妙な、あるいは不穏なエネルギー、サイキック能力。サイキックな現象。自然のサイクルとの調和。深い本能。直感的な感覚や透視能力などの暗示。

「創造」強烈な夢、物語、創造力。神話、ファンタジー。

【職業と為人】騙されやすい人、または自分に嘘をつく人、自分を騙す人。予期しない変化や混乱を巻き起こすような突然のニュース。透視能力などを持ったサイキッカー。

　月のカードは、他の人にあるいは自分自身によってだまされることを表します。質問者は誰かの嘘の犠牲になり、あるいは自分自身に嘘をつきます。隠れた面の発見は不愉快なもので、幻滅したり傷ついたりするでしょう。質問者がどんなに事実を知りたいと思っても、重要な事柄のいくつかは隠れたまま。そのことに注意するようアドバイスしてあげましょう。

　直感的な感覚や透視能力などサイキックなことについての暗示もあります。眠りや夢をシンボライズしています。リーディングの流れが苦しみを示しているものでなければ、サイキックの面からの解釈をしてみましょう。質問者は問題となっている事柄について、超自然とか霊的な関連があると思っているかもしれません。あるいは夢や何かの神秘現象についての質問をしようとしているのかもしれません。このような場合、月は単に心霊などの体験を表すにとどまります。

【逆位置】

「覚醒」気づき、我に返る、問題が明るみに出る、悩みの解決は近い、スッキリする。目覚め。

「看破」嘘を見抜く、危険を見抜く、危険回避。

「小難」かわいい嘘、小さな過失、小さくて済む危険な出来事。

「解消」頭の整理、迷いの解消、誤解が解ける、計画や夢が着実に実現すること。

「好転」徐々に好転、状況が良くなる、誠実さ、新たなハーモニー

「超常」サイキック。超能力。サイキックな作用は逆位置でも同じ。

【職業と為人】進むべき道が見える。肯定的成長・変化。かき乱された感情をどう扱っていいのかわからない。気分の揺れや落ち込み。

　「月」は逆位置になると好転して、誠実さが戻ります。不誠実な考えは消え去ります。期待以上の結果という意味にもなります。混乱や自分自身をだます嘘はだんだん減っていきます。愛する気持ちや慈しむ心が自然に表に出てきます。何かの計画や夢を持っている人にはすばらしいカードです。計画のひとつひとつが積み上がっていき、それらすべてがうまく機能するという暗示があります。サイキックな作用についての意味は、逆位置でも同じです。

　「月」が「太陽」またはその他の太陽のカード(「ワンドのエース」など)と一緒に出てきたら、月の時間は終わり、人生がもっと容易になることを意味します。