第8話 THE FOOL. 愚者

0 THE FOOL. 愚者

 風・天王星(支配星座水瓶座) ライトイエロー


 愚者が示しているのは「自由」「解放」「純粋」「無垢」です。

 あなたはなにものにも縛られずやりたいように行動できます。世界のしがらみに囚われず、誰かに命令を押し付けられたりもしません。


 本来このカードに番号は振られていません。この世界に存在しなかったまたは住人ではなかったからでしょう。ホームレスや住所不定無職のような、社会に貢献しない人の可能性もあります。無限の可能性を感じさせる点から、まるで創造主である神そのもののようです。


 ライトノベルに親しんでいる私たちは、愚者に「異世界転生の主人公」を見るでしょう。

 愚者は世界の境界である氷山を越えてやってきたのです。

 だから愚者は小さなカバンへこの世界に持ち込める数少ないものを携えています。現実世界で得た数少ない役立つ知識を異世界へ持ち込もうとしているのです。

 主人公は異世界を前向きに味わおうと「探求」をやめません。「異世界転生」なら最終的には「主人公最強」の物語を紡ぎます。

 「異世界転生」するには「神の力」を借りなければなりません。幸い愚者のカードにある「白い太陽の光」が「神の力」を表しています。

 しかし彼は左手に「沈黙」の白いバラを持っています。「別世界からやってきた」とおおっぴらには言えないのです。そのくらいの分別はあります。

 「現実世界人」であるあなたは普通の「異世界人」と違ったことをするので、世間の笑いものとなっています。

 愚者は私たちすべての心に宿る、冒険心を掻き立てる性質です。彼の若さは、すべての人々が内に秘め、呼び起こされる時を待つインスピレーションの閃光を表しています。


 「異世界転生」の主人公は物語の最初こそ「自由、解放、現実の世事により異世界を恐れない情熱、そして未熟さ」を内在しています。

 しかし物語が進み「主人公」として躍り出てきたときには、すでに「主人公最強」になっているのです。


 自由を謳歌して踊るようにのんきに歩んでいる愚者は今にも崖から転落しそうな状況で、本能を表す白い犬が若者の足元で吠えて警告を発しています。

 正しい道へ愚者を引き戻そうとする救いの手が存在していることを暗示しています。


 あなたは「自由」で「解放」されて心のままに「純粋」ですが、まだ眼前に迫る危機に気づいていないのです。

 しかしあなたのそばで警告を発している人や事象があるでしょう。

 それに気づいて警戒していれば、あなたの前途は洋々です。


 「愚者」は風の元素が示されているため、同じく風のスートであるソードと関係が深いのですが、識別の力を持っていません。

 あまりにも信じやすく簡単に欺かれてしまいます。

 風は空想・投影・思考・理解など、人の自発的な精神を表しますが、その一方で、コントロールできず、気まぐれや予想外の行動に傾きやすい。

 これは天王星の特徴でもあります。


 近いカードの影響を受けやすいカードでもあります。


【正位置】

「自由」気まま、解放感にあふれる、固定観念・既成概念に囚われない。向こう見ず。

「始まり」新しいことの始まり。

「可能性」秘められた可能性。才能の開花、直観。

「奇抜」型にはまらない斬新な発想、風変わり、奇想天外さ、ユニーク、発明。

「冒険心」好奇心旺盛。探求。

「出発」目的のある旅。計画や思考よりも本能からの行動。

「正気に返る」誤りや間違いに気づく。

「偶然」好ましい偶然・状況、ラッキーなハプニングが起こる暗示。

「岐路」大きな決心・決断、重要な決定、人生の重要な岐路。

【職業と為人】探求者、自発的、自由人、フリーター、自由業、起業家、芸能人、芸術家、発明家。旅人。または「神」。次の目的のための離職なども意味。愛や新しいアイデアに賭けてみる。


【逆位置】

「愚かさ」馬鹿げていること、無知、利己的な行動。

「無関心」つまらない状態、飽きっぽい。

「無計画」無目的の状態、軽率、軽はずみ、きまぐれ、衝動的、無謀、中途半端、無責任。間違った選択の意も。なにも決まっていない。ダラダラ残業する。

「無意味」得るものがない、無駄。

「非現実性」現実逃避。

「混乱」収拾がつかない。

「不安」自信がない。ノイローゼ、精神状態の不安定、心配、時として用心深すぎる、乱れた私生活なども意味する。

「放浪」あてどない旅、旅先でのトラブル、職を失う。居場所がなく孤独感に苛まれる。

「成熟」自分の本能とつながれなくなっている可能性。

「遊びの恋」二股以上の関係性、ナンパ、煮え切らない態度

「魔の手」チャンスめいた偶然がありますが、それに簡単に乗るべきではありません。しばしば、首を突っ込んではいけないことに巻き込まれてしまっているケースもあります。

「考えていない事実」新たな選択の道や何らかの可能性が見えてきたときは、考慮されていない事実がないかよく調べるよう、質問者にアドバイスしてあげてください。何が欲しいのか、何がやりたいのかもう一度考え直すよう伝えてください。

【職業と為人】愚か者、わがまま、考えずに行動すること。人にうまく利用される。



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