第4話 奇妙な人

 私は、王城の中を歩いていました。

 フェルムーナ・エルキアードという扱いやすくて都合がいい人のおかげで、私は聖女の仕事から解放されることになりました。

 これで、自由の身です。これから、何をしましょうか。うへへへへへ。


「シャルリナさん!」

「え?」


 そんな私に、話しかけてくる人がいました。

 その人物は、この王国の第三王子であるウェルクード様という人です。

 王族というものは、正直言って面倒くさい人達です。自分より偉いので気を遣わないといけませんから、できるだけ会いたくない人達ですね。


「聖女をやめたというのは、本当ですか?」

「え? ええ、まあ……」

「何故、そのようなことを?」


 この人とは、王族の中で一番会っています。

 よくわかりませんが、よく会うんですよね。とても面倒で、仕方ありません。

 今日も、面倒なことを言ってきました。情報が早いですね。

 でも、別に、私がやめてもいいじゃないですか。新しい聖女も見つかっている訳ですから、王族の方々が困ることもないと思うんですが。


「ええっと……まあ、諸事情で」

「諸事情……何かあったのですか?」

「え? えっと……私より相応しい人が見つかったからです」

「それが……フェルムーナさんだというんですか? あなたと争い……負けた彼女が、あなたより相応しいのですか?」

「まあ、志的なものですよ」


 この人が言っていることが、理解できない訳ではありません。

 私とフェルムーナ・エルキアードは、二人で聖女になるために争い、その結果私が勝ちました。そんな私が、彼女に聖女の地位を明け渡すというのはおかしいかもしれません。

 でも、そんなことどうでもいいでしょう。この人、なんでそんなことにこだわるんでしょうか?

 そもそも、その勝負も僅差だったのですから、どちらでも聖女は務まりますよ。どっちでもいいではありませんか。


「とにかく、私はもう聖女をやめました。その結果は、もう変わりません。惜しんでいただけるのはありがたいとは思いますが、私はこれで去らせてもらいます」

「……そうですか。残念ですが、仕方ありませんね……」


 面倒くさいので、私は話を切り上げることにしました。

 これ以上、この王城に留まっているとストレスになりそうです。早く、家に帰りたいものですね。

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