『火の島』 下の下の上

やましん(テンパー)

 『火の島』 下の下の上の1


 焼き鳥おじさんが放ったのは、一種の人工的な雷さまでありました。


 球雷と、言えるようなものです。


 目標に達すると、爆発して、大きなエネルギーを放射します。


 その大きさは、焼き鳥おじさんの『球雷砲』でコントロールできます。


 普段は、焼き鳥のエネルギーに少しずつ使うのですが、いざとなれば、武器に早変わりです。


 しかし、あとから聞いたところでは、いささか問題がありました。


 この武器には、かなりの電力を蓄積しておく必要があります。


 地球上ならば、いくつも方法があるのですが、ここでは、大方、ここの太陽にお任せです。


 住居の電力を使ったら、すぐ停電ですし、怪しまれます。


 しかし、地球の太陽に比べて、充電効率が悪いらしいのです。


 『あと、一回、打てるかどうかだな。そうすると、仕事はしばらくお休みだ。いやまてよ、『みためくまさん族』が勝ったら、どうなるか。宇宙ゴキは、自爆するかもしれない。やたら、ちょっと勘違いの誇り高い連中だ。』


 焼き鳥おじさんが、そんなことを考えている間に、球雷は、火山の頂上付近に到達して、爆発したのです。


                 ●~*


 

 『おぎょわああ。なんだあ?』


 ぼくが、叫びました。

 

 と、ほぼ同時に、頂上付近からの投石が止まったのです。


 『焼き鳥おじさんが、なにか、やったにゃんこ。』


 ねこママが言いました。


 『早く上がろう、くま。』


 みためくまさんは、意外と素早く行動したのです。


 『あ、まてまて、ひとりで行くなあ。』


 ぼくたちは、慌てて、みためくまさんを追いかけて、頂上を目指しました。



   ***************   🌋


 巨大な火山です。


 火星のオリンポス山を超える規模があるとされます。


 ただ、ここの大気は厚く、頂上も大気圏の中ではあるようです。


 その頂上には、巨大なカルデラが広がっています。


 現在の火口は、ぼくたちが昇ったがわの方に近く開口しています。


 ちょっと、想像を絶する光景です。


 こんなのが、本気で爆発したら、どうなるか?


 いつも、激しい噴煙を吐いているので、かなり活動的な様子ですから、恐怖そのものです。


 もし、いま、小さな爆発でもしたりしたら、そりゃあ、もう、大変でしょう。


 みんな、吹き飛ばされます。


 『それでも、まあ、死にはしないにゃんこ。たぶんにゃ。やったことなにゃんこ。保証はなしにゃ。』


 『そうでしょうとも。で、どうするの。』


 『ここからなら、機械をドロンにぶら下げて、火口に突入させるにゃん。それで完了。しかし、まあ、この連中、かわいそ、と言えば、そうにゃん。』


 そうなのです。


 そこには、身長3メートルはあろうかという巨人たちが、目を回して伸びておりました。


 『生きてるのかな。』


 『さあ・・・・まあ、かわいそだけど、しかたないにゃん。』


 『なんなんだい、人間には似てる。』


 『聴くところでは、むかし、地球上には、現世人類とは別の人類がいたにゃ。ネアンデルタール人とか、この、いわゆる、イエティ人とか。おそらく、この連中の先祖は、ネアンデルタール人との生存競争に敗れたにゃん。でも、連中には、新興の現生人類と、ネアンデルタール人との、区別がつかなかったにゃんこ。たぶん。で、ずっと、人類を怨むことが文化的基礎になったにゃん。宇宙ゴキが、あるとき、彼らを衛兵として、ここや、ほかに、住み着かせたにゃんこな。推測にゃん。』


 『ふうん・・・・そおんなことがあるかいな。確かに、巨大な人骨が発見されたという話しはあるけど、それは、実はトリックだったということだったと、聞いたような気が・・・』


 『まあ、この『人たち』も、人類の親戚には違いニャンこにゃ。怨みをもったり、復讐するのは、人類の特徴でもあるにゃん。』


 『まあ、執念深いよな。人類は。』


 『くま、早くやって、降りようくま。』


 『ごめんにゃんこら。では、飛ばしますにゃん。』


 ねこママは、持って上がった荷物の中から、その『機械』を取り出したのです。



             😸


     ***************   

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