第7話 スキル創造神もロクでもない

「この野郎!ふざけやがってぇ」


スキル創造神の挑発の様な手紙に思わずソラは大声をあげてしまう。声の大きさに、花提灯を出して寝ていたフィニーは目を覚ましたようだ。


「ちょっと!せっかく昼寝してたのに、目が覚めたじゃない。喰らえ!フィニーキック」


昼寝から起きたフィニーが怒りながらドロップキックを繰り出してくるが、スッとソラは回避する。そのままフィニーは壁にぶつかっていた。



「いやいや、落ち着け落ち着け。イライラしちゃいかんな」


と破るにしても全部読んでからで良いだろうと思いながら再び手紙に目を移す。



『まあ大変だと思うけど頑張ってね!


後、ベッドの下に隠してある本は君のためのものだ。困った時は使用すると言い!


それでは、後は任せたよ。二度と会うことはないだろうが君に幸運が有りますように!


君の師匠、スキル創造神より』



「なんて、雑な。しかも最後に師匠を名乗りおった」


とりあえず、手紙は《アイテムボックス》にしまい直す。持ち物が多くて持てない時は、真っ先に手紙を捨ててやろうと思う。



「困った時に使うための本がベッドの下にあるって〜」


「そこは気になるな!スキルに役立つものに違いないと思うが……わざわざ隠すのだからよほど重要なものに違いない」


すぐにベッドの近くまで行って下を覗く。やはり何かが置いてあるようだ。


「よし、フィニー取ってこい!」


「ええ、私?」


「俺じゃ届かないしなー、頼むぜパートナーよ」


と言いながらベッドの下に押し入れる。ムーと言いながらフィニーは言ってくれた。


「暗いから灯りをつける魔法を使うわ《ライト》」


フィニーが光っている玉を出して、本の下まで行く。


「表紙には何て書いてある?」


どんな便利な本を残してくれたんだろうなと思いながら聞いてみると、フィニーから返事が返ってくる。



「えーと、[神界の女神、美ボディ総まとめ!みんな揃ってエロスの神だ]って書いてある」


「すぐによこせ、燃やしてやる!」


一瞬でもスキル創造神とやらに期待したのが馬鹿だった。まさかエ○本だとは思わなかったが、余りに油断していた。



「結局、ロクなものでもなかったな……やっぱりスキル創造神に期待するのは駄目だ」


奴への信頼度は、底辺まで落ちている。もう二度と浮上することもないだろう。


「5冊あったよ、全く」


どうにか本を引っ張り出してきたフィニーにお礼を言いつつ、目の前のブツに目を向ける。


「フィニーさん、これって神界にも出回ってんの?」


「男神の間で人気らしいわ。表紙に載ってる女神様も見たことある神だし」


「マジかよ、特に知りたくもない情報だったな」


と思いながら手に取ってページを開いてみる。ソラの元いた世界でもなかなか手に入らないシロモノだ。


「いやぁ、これはけしからんですなぁ……」


顔を赤くして本を見る。


「別に、プールや浴場に行けば見れるじゃない。大した本じゃないわね」


と同じくソラの肩に乗っているフィニーが言う。


「いやいや、浴場とか俺が行ったら消されるだろ。神とはいえ、こう言うのも見るもんなんだな……」



「あらあら、ソラくん。素敵なモノを見てるんですね?」


「ええ、この女神様の太ももとかが特に素晴らしく……」


いつの間に入ってきたのだろう。ソラの身体が凍りつくような感覚を覚えた。すぐ後ろには、転移神が立っている。顔は微笑ましく笑っているが、目はどこか鋭く感じた。


「あちゃー」


フィニーにが肩で呟く。



「その本をどこで?」


「命だけは……」


すぐさま、ソラは見事な土下座を披露することになるのだった。





フィニーも説明してくれたため、転移神はすぐに分かってくれた。だが、スキル創造神のお宝、○っち本は一瞬にして全て灰となってしまった。


余りの処理の速さにソラは震えるしかなかった。


「ええ、けしからんですね。ソラくん?」


「ええ、本当にその通り……」


ソラは冷や汗をかきながら灰となった本を見ているのだった。

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