第13話 屋敷のテラスにて
「ああ、うっかり寝てしまってね、目を覚ましにここに来たんだ」
(とっさに考えた割にちゃんとした理由になっててよかった)
「お兄様、眠気覚ましにハーブティでも、いかがですか?」
ふとアイリーンから声が掛かった。
「ああ、貰うよ」
「そちらにお掛けになって、お待ちくださいな」
テラスにある白い円形のテーブルと白い2組の椅子の片方に座るように言った後に、足早に屋敷の中に戻っていく。
椅子に腰かけるとこれからの事を考えることにした。
(………まずは、あの事を思い出してみるか)
あのことは夢だったのだろうか?
………いや、この先に起こることが分かるのに夢と決めつけていいわけがない!
きっと何らかの理由で過去に戻ってきたのだろう。
それにしても不可解なことがある。
………なぜこの時期なんだ?
最後の記憶では1120年の9月だったはず。
そして今は1117年の9月。
ちょうど3年前になる。
半年前の4月には父が王都で陛下を守護する親衛隊の仕事をする為に俺が領主として引き継いでる。
となると俺は15歳だろう。
アイリーンは今13歳で、2年後には成人の儀を行い、アストレア伯爵家の元に嫁ぐ。
俺はこれと言って大きなこともなく、3年間領主としての仕事を学び、順風満帆だったはずだ。
領主としての勉強、ギフトである土魔法を成長させ、不作をなくすための領民の為にギフトを使い、努力をして領民の生活楽になったはずだ。
――それもわずか3年の間にだ!
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