帰還

それからまた数日たったある日、再び相楽が男衆達に連れられておミツ達のいる村へと帰って来た。


籠に乗り、顔が見えぬが、男衆達の話を聞くと、無事に生きて帰ってきたようだ。


男達は口々に鬼神のごとくと相楽の噂をしている。


やがて一人の男が悲しそうな顔をして、

「だがあぁ勿体ない。」

と呟いた。


嫉妬する者がいないのはここにいる者達は皆、相楽の病を知っているのだろう。


普段ならばあの人は自分の足で歩こうとするに決まっている。


それでも籠に乗ってきたのはもう体力も無く、また、病人を他から遠ざけるためでもあったのかもしれない。





それでもおミツは相楽が生きて帰ってくれただけでも胸が歓喜に打ち震え、

倒れてしまいそうな程嬉しかった。


実際、少しくらりと足が揺れたが、近くの木に寄りかかり。


何とか地面に座り込まぬよう耐えた。


神様仏様ありがとうございます。


と胸に手を置いて心の中で静かに唱えた。


人が邪魔をして近くには行けなかったが、ここに再び戻って来てくれたということは療養のためだろう。


相楽はお蜜に興味は無いだろうが、また後程話しかけてみよう。


身の回りの世話をしていても、今迄口を利く機会が中々なかったが、もう少し話がしてみたい。


籠から降りた相楽は少し頬がこけていたが、

目は戦場から帰ったためかギラギラと輝き、血走っていた。







それでも以前よりは、少し覇気を失ってしまっているような気がするのは、おミツの心配性のせいだろうか。

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