もやり
食事を作り終え、暫く待っていたが、相楽は中々帰ってこない。
おミツは少し残念な気分になりながら、貰っている褒美のためと相楽を探しに出る事にした。
昨日と同じ場所だろうか。
上裸を見るのは気が引けるが迎えに行くしかなさそうだ。
一つ溜息を吐くと、重い腰を上げて昨日相楽のいた滝壺へ駆けて行った。
滝壺に着くと、相楽の方がおミツの声掛けより先に気付いたようで、
手でおミツを制すると、指で後ろを向くよう促した。
おミツが後ろを向いて待っていると、着物を正した相楽が歩いてくる。
「お主も変わった娘だ。村の男達の裸等野良仕事の時見慣れているのではないか。」
おミツはカッと顔の熱が上がるのを感じた。
「若い衆はとっとと戦にいっちまってここにゃいないんでさ。」
恥ずかしくなってドギマギ説明すると、いつものようについつい言葉が崩れてしまう。
相楽は特に気にしていないようだ。
元より身分の低い田舎娘のおミツに等期待していないのだろう。
おミツの口調等気にも留めず、
「成程男手なく暮らしを送るのは大変そうだ。」
と興味なさげに言うとひょいひょいと速足で先に帰って行ってしまった。
おミツはほんの少しもやりとしたが、
身分が低い者相手に威張りちらす武士(もののふ)よりもましとかと思い直し、小走りでついて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます